挨拶 ページ2
ジャッ…ジャッ……キーッ
子気味の良い自転車のブレーキ音が響く。
「何回来ても慣れないなぁ、都会の高校は。」
二年生になる時、宮城の田舎から転校してきた今井Aは
まだ都会の高校に慣れていられないでいた。
朝から忙しなく車が走る大きい道路も、
田舎者のAからしたら全てが違う世界だった。
二年生の校舎、自分の教室の前で立ち止まり深呼吸をひとつ。
すぅーーー、ふう。
よし、行くぞ。
「…おはようございます!!!」
シーーン……
「ってだよね知ってた!!!(泣)」
Aが学校に着く時間はとても早く、
教室にはいつも誰も居ないのだ。
一番乗り気分を楽しんでる…かもしれないが。
「朝練のある子が戻ってきてない限り一人ぼっちなんですよねぇー…
…あっ、やばい課題やってない!!!」
昨日出された課題をやっていないことに気付いたAは
朝のうちにやろうと自分の先へと急ぐ。
その時
＿＿＿＿バチッッ
窓側の席に座っている
音駒の赤いジャージを着た
男の子と目が合った。
？「ッッ!!!」
逸らされた!!
少し猫背のその子はスマホを固く握り締め、
走って教室から出ていってしまった。
どうやら三年の校舎に向かっていったみたいだが…。
「え、いつから居たんだろ…。」
(そりゃあ一番最初から居たよね…一番最初から居たって事は……。)
「独り言全部聞かれてた?!?!?」
自分の席にトボトボと向かうAは
名前でも聞けばよかったかと現実逃避をしていた。
キラッ
Aの足元になにやら光るものがあった。
「んん〜〜…なぁに、これ」
「こ、づ、め、け、ん、ま、？」
さっきの子が落とした名札だ……!!!
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作者名：百。 | 作成日時：2020年7月5日 18時
