その十三、逃げ ページ13
夢を見るんだ
インターハイの舞台で僕がトスを上げて若利がそれを打つ
湧き上がる歓声と若利とのハイタッチ
周りには天童くん達がいて一緒に喜びあった
でもそれはただの夢で、理想
例えば、僕にもっとバレーの才能があって、若利の隣にいても誰にも文句を言われなかったら
今も一緒にやっていたのかな?
弱い僕は…きっといつまでも弱いままなんだ
逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて
その先に何があるのか
日々、頂点を目指す彼らと反対に向かって何があるというのか
いつか一緒に出来れば…なんて悠長なこと考えて、いつの間にか追いつけないほど離れてて
今日もほら、触れたってトスができない
プレーをすることを考えた途端に蘇るあの記憶が僕に絡みついて離れないから
振り切る前に僕は1度だって向き合えてない
そのまま僕は、3年の春を迎えた
未だに僕は1度もトスをあげられない
毎日挑戦した、その度に手が震えて言うことをきかない
無理するなって、大丈夫だって彼らは言ってくれる
でもそれじゃあダメだよ
だって、今年で終わりなのに、きっと高校を卒業したらみんなとはもうバレーをすることも無くなってしまう
試合に出たいわけじゃないよ、ただ皆とバレーがしたい。そのチャンスが日に日に減っていくのを感じるんだ
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作者名:鳥屋 | 作成日時:2019年10月18日 17時