Only Love Part 35

先生のオファー ページ5

暗くなり始めたころ、私は病院をあとにした。

面会終了時間まで父のそばにいるつもりだったので、空いた時間をどうしようかと考えてしまった。

するとそれを予測でもしたかのように、幸田先生からメールが入った。

(Aさん、お父上のことで帰国しているのに、誠に申し訳ないのですが、今日か明日、少し時間を作ってくれませんか？あなたの都合に合わせますので、時間は決めてください。よろしくお願いいたします。幸田淳)

私はすぐに先生に電話をかけた。

「先生、メール拝見しました」

「お〜 Aさん、電話くれて嬉しいよ」

「ちょうど今、病院を出たところなんです。父の手術はうまくいきましたし、お見舞いも終わったし、もう帰っていいって言われちゃって」

「手術がうまくいった？それはよかった、よかった。一安心だね」

「はい。父は手術直後とは思えない位元気で、びっくりしました」

「じゃあ、これから来てもらっても大丈夫？」

「ええ、もちろん。今、車に乗ってますから、この足で伺います」

「ありがとう。助かるよ。じゃあ、待ってるからね」

私の電話を聞いていた如月は、ハンドルを切って進路を変更した。

「お嬢様は、ほんとにお忙しい身体ですね。帰国したとたんにお仕事のオファーですか」

「なんの用事か、先生に訊くの忘れちゃったわ。写真の仕事だとは思うけど… 行けばわかるでしょ」

「それでは、夕食は幸田先生のお宅で、ということでしょうか」

「そういうことになるわね。先生の冷蔵庫の中身はわからないけど」

「私がなんとかしますし、大丈夫でございますよ」

４０分ほどで到着した。

車の音を聞きつけた先生が、玄関から出てきて出迎えた。

「忙しいのに、よく来てくれたね」

「さっき、要件を訊くの忘れちゃいましたけど、何があるんですか？まさか、また井戸さんがいらしてるんじゃないでしょうね」

「井戸君？違う違う。今日はね、ジヒョン君が来てるんだ」

「ジヒョンさん？ 先生、それもびっくりですよ」

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