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ベッドの上で、机の上に調査書を開く。
しばらく紙面とにらめっこをしていると、
〈土方何でそのまま死ななかったんだコノヤロー〉
お決まりの台詞決めた、
みたいな表情で登場した沖田総悟。
「...何の用だ」
こいつが俺の見舞いなんざ来るわきゃ無ぇ。
かと言って、流石に病院じゃ、
俺を消そうとする野暮なマネはしないだろう。
〈入院中暇だろうと思って、
仕事持ってきてあげたんでさぁ〉
総悟は、ドサッと大量の事務資料を机に置く。
「そりゃ助かるわ、やることなくて困っ....
ってこれほとんどお前の今月の仕事じゃねぇか!」
総悟に向けた、盛大なツッコミは届かぬまま、
ヤツは姿を消した。
「....ったく、どいつもこいつも_______
....ん?」
分厚い資料の中から、ポロっと何かが落ちる。
それを床から拾い上げると、
俺がいつも吸っている、新品の煙草だった。
「...あいつ.....」
微かに口元に笑みを浮かべて、
ふと煙草の裏面のパッケージを見ると、
”体温で小爆発”
その文字を理解した瞬間______
_______ボンっっっっ!!
煙草の姿をした小さな爆弾は、
俺の手の中で、灰となった。
『..大丈夫ですかっ..!?』
爆発音を聞いたAが、
一目散に、俺の所に歩み寄ってくる。
「大丈夫だ...いつもの攻撃に比べたら...
一瞬でもあいつを信じた俺が馬鹿だった...」
Aに言っても通じるはずのないワードを並べながら、
俺は頭を抱えた。
『...何を言っているのか分からないですけど、
どこか火傷してませんか..!?
それならすぐ冷やさないと..!』
俺の両手を交互に取り、
間近で顔をも、覗き込んでくるA。
「.....」
初めてAの顔を、こんなに近くで見た。
整った顔立ちに、真っ白な肌。
綺麗な瞳に、長い睫毛。
『....十四郎さん?』
黙ったまま自分を見つめる俺に、
Aは、不思議そうに問う。
「..え?あ、いや、大丈夫だ
..それより、騒がしくしちまってすまねぇな」
Aに、少し見惚れてしまっていた自分を、
誤魔化す為に、話題を変えた。
『...いえ、こんな賑やかなの久しぶりなので、
私も楽しくなっちゃいました』
俺の手を離しながら、微笑みかけるA。
「..そういや看護婦も、この部屋は何年も、
一人が使ってるって言ってたが、アンタのことだよな?」
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リヴ - ていさん» 私も銀魂の小説書いてます!ていさんほど上手くないですが、ぜひちらっと見ていただけたら嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - リヴさん» 勿体ない程のお褒めの言葉ありがとうございます(TT)完結まで暖かく見守ってくださると嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - 語彙力が素晴らしいです!ていさんの作品色々読ませていただいたんですが、どれも面白くて…!尊敬してます!更新頑張ってください! (2021年1月5日 10時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てい | 作成日時:2020年12月20日 6時