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『....うーん、それはそれで困りますね
 ....言ったじゃないですか、
 私のことはさっさと忘れて欲しいって』

Aは、悲しそうに笑う。


「...じゃあ何でそんな顔をする
 ......何でそんな悲しそうな顔すんだよ」


『...はははっ...』


俺の言葉に今度は、
誤魔化すように笑うA。


「...そもそもなぁA、
 てめーのこと忘れて欲しい奴が自ら、
 .....忘れろなんて言うかよ」


俺は目の前の柵の手すりの上で、両手を組む。


『....そういうところなんですよ...』

Aは、独り言のように呟いた。


「..は?」

急に何の話をし出したのか分からず、聞き返す。


『...十四郎さんが退院する前日も、そうだった...
 あなたは....ぶっきらぼうだけど、
 人をとても理解しようとする...不器用で器用な人』

Aは微かに微笑みながら、
俺と同じように、手すりに手をついた。


「.....」

滅多に言われない言葉だな...
なんて考えながら、俺は黙って聞く。


『...だから、頼りたくなっちゃうんです
 もっと話がしたい、もっと受け止めてほしいって、
 思っちゃうんです....』


Aの声が、どんどん小さくなっていくのが分かった。


「....そうかい」


『..い、今のは独り言だと思ってください..!
 じゃあ私そろそろ戻________』


そう言って繋がれた医療器を引き、
Aが、体の方向を変えようとした時、


俺は、Aの腕を軽く引っ張って、
自分の腕の中に、閉じ込めた。



『....っ......!?』


驚きで声も出ない様子のAに、
俺は構わず口を開く。



「...もう、いいじゃねぇか...
 もう十分アンタは...苦しんだだろ...」


俺は、Aの髪に片手を添えて、
呟くように言った。

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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リヴ - ていさん» 私も銀魂の小説書いてます!ていさんほど上手くないですが、ぜひちらっと見ていただけたら嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)
てい(プロフ) - リヴさん» 勿体ない程のお褒めの言葉ありがとうございます(TT)完結まで暖かく見守ってくださると嬉しいです!! (2021年1月5日 11時) (レス) id: 51fbc336c0 (このIDを非表示/違反報告)
リヴ - 語彙力が素晴らしいです!ていさんの作品色々読ませていただいたんですが、どれも面白くて…!尊敬してます!更新頑張ってください! (2021年1月5日 10時) (レス) id: 3a05cdac75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てい | 作成日時:2020年12月20日 6時

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