私は稀有な異能の子 ＊2＊【文スト】太宰治

葛藤 ページ19

ガラガラと大きな音を立てながら
美しかった礼拝堂の壁が瓦礫と化し、
太宰以外の武装探偵社員とポートマフィアが
下敷きになった。


太｢皆！｣

敦｢だ、大丈夫です、太宰さん、
空洞がありますから！！｣

中｢おい、太宰！手前はAの暴走を
止めてやれ！！｣

｢哀れな……｣


Aが面倒そうに呟く。


｢太宰といったな、貴様も瓦礫の
下敷きとなってしまえ！！！｣


Aが天井に8本の手をかざす。
そこにいる者達は皆、太宰が瓦礫の下に
埋まってしまうかと思えた。

しかし、




太｢……？………異能力を使わないのかい？｣



Aは手をかざしたまま動かなく
なってしまった。


｢……？な、なぜ、くそ、天井を……！｣


Aが必死になって手を天井へ突き出すも、
一向に天井は崩れない。


｢何かとち狂ったか？｣


と、全く違う方向にある柱を砕こうと
手をかざす。すると安易に柱は
粉々に砕け散った。


｢？どうしてだ……？｣


もう一度Aは手を天井へとかざす。
しかしビクともしない。

困惑しているAに太宰は声をかけた。


太｢もしかして、私を傷つけないように
しているのかい……？｣

｢そんなわけあるか！！お前など……！！｣


とAが言いかける。
すると突然、Aが苦しみ出した。








〜Aside〜




なぜ、我の神から授かった異能力が
使えない！？


太｢もしかして、私を傷つけないように
しているのかい……？｣


何を言っているのだこやつは。


｢そんなわけあるか！！お前など……！！｣


反抗しようとしたその時、
またあの頭の痛みが襲ってきた。


｢ぐっ、ぐあっ、い、痛い……！｣


"収まってよ！私！私は皆を……
太宰さんを傷つけたくないの！！！"


｢だ、太宰さん……！私は……！｣

太｢A！？｣

｢くそ、我の中にいるお前は誰だ！！｣


この時、本人の中では神となったAと
本来のAが対峙していたのであった。

チカチカと視界が落ち着かない。

我の背中から生えていたあの
6本の腕さえも、消えかけている。


｢くそ、お前！！｣


"私の異能力は人を傷つけるために
あるんじゃない！！"


｢何を言っているのだ！？｣


"私の異能力は人を助けるためにあるの！"


｢ぐあ、頭が……！！！｣


"貴方なんかに好きにさせない！！"


これは本来の我の姿……？

我の中に2人の人格が…！

意識も身体も全て、狂いそうになったその時、

太宰という男に抱きしめられた。

責任→←戦

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