プレイバック（×赤） ページ19
.
年末は、音楽特番が多くなる季節。
今日はFNS歌謡祭の出演がある。
そこでは、自分達の曲だけじゃなくて、名曲のカバーの披露させてもらうことになっていた。
番組側からのご提案で、私以外のメンバーは『勝手にしやがれ』のカバー、そして私は…
「……」
宮「……A、目。」
「…え、」
本番前の控え室。
ぱっ、と目の前が真っ暗になったと思ったら、
誰かの手のひらが顔に触れないギリギリで目隠しをするようにかざされていた。
宮「怖いよ。」
「あ…」
…耳のすぐ後ろから聞こえる声で分かった。
涼太が、座ってる私の目元を後ろから覆って隠してる。
宮「…いつもより緊張してるね、」
「…うん…。そんな怖かった…？」
宮「んー…他のメンバーがちょっと不安そうな顔してたかな？」
「…ごめん、全然、そんなつもりでは…」
宮「ふふ、だから俺が今隠してあげてるじゃん」
「…、」
視界を隠されたまま俯けば、その手も連動するように角度を変える。
言われて初めて自覚を持った私は、緊張の悪化から来る苛立ちを抑えるように、小さく溜息をついた。
宮「ソロだし、名曲のカバーだしね、」
「…うん、」
宮「Aが歌ったら絶対カッコいいと思うけど、…今はまだ、力抜いて」
優しくて、程よく明るい声色が響く。
左肩に手が置かれ、耳元で「…目、閉じて？」なんて例のセリフ。
大人しく瞼を閉じると…おでこや眉、睫毛にかする、柔らかな体温を感じた。
宮「……A、」
左側から直接届く声。
真っ暗な中で、それだけを受け取る。
宮「Aが歌い終わるまで、ちゃんと皆で待ってるから」
「…うん」
宮「……終わったらいつでも、俺達のとこに戻っておいで」
…それは、どんな時でも1人じゃないよって安心をくれるみたいで。
戻る場所がある、そう思っただけで、悪い緊張が解けていくようだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2660人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» いつもありがとうございます！お仕事お疲れ様です…！ちょっとでも癒しになってくれたら私も嬉しいです(´˘`)♡ 良いお年をお迎えくださいませ〜！ (2022年12月30日 17時) (
レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころがり(プロフ) - 更新ありがとうございます(^^)仕事の休憩中に更新通知が来て癒やされたくて飛びついて読ませてもらいました！さくまさんとのお話で癒やしパワー倍増でした！ありがとうございます。良いお年をお迎えください(*^^*) (2022年12月30日 16時) (レス) @page36 id: 2f2c4b7be0 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» ありがとうございます！そんな！その一度がとっても嬉しいです！コメントもありがとうございます*ˊᵕˋ* (2022年12月17日 16時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんころがり(プロフ) - 更新ありがとうございます(*^^*)どうして♡や投票は一度しか送れないのか…と悲しくなっちゃう位毎回楽しませてもらってますー！ (2022年12月16日 23時) (レス) @page21 id: 2f2c4b7be0 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - にゃんころがりさん» ありがとうございます！(^^) 嬉しいです〜〜いつも素敵な感想送ってくださるので語彙力ありまくりですよ( ˶'ᵕ'˶)！笑 またこれからも楽しんでもらえたら嬉しいです！ (2022年11月29日 17時) (レス) id: 9de473efb1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒葡萄
| 作成日時：2022年11月25日 7時
