シャーペン ページ8
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文化祭が終わって、振替休日も終わって、
なんか久しぶりの通常授業日。
…といっても、私が振替休日明けも勝手に休んで、
自主的に連休にしちゃったからなんだけど。
理由なんかない。
ただのサボり。
あるとすれば、それは…
「…あれ?A!?」
「どうしたんその髪!」
「昨日休んでる思ったら…
まさかそれのためやったん!?」
女友達がいち早く気付いて、早速驚いてくれている。
それにつられたかのように、
周りも何だかざわざわしだす。
ズル休みと異変とで自分の方に注目が集まってくる、
ある意味いつも通りの学校。
だけど、なんか調子出ぇへん。
「…可愛いやろ?」
興味津々でいてくれてる友達にニコッとして、
適当に誤魔化した。
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しばらくして授業が始まると、
後ろからちょんちょん、と小さな力でつつかれる。
「…なに、すばる君」
渋「これ昨日教わったとこ?」
軽く振り返ると、
すばる君がシャーペンで教科書を指しながら聞いてきた。
「知らん私昨日休んだ」
渋「お前ふざけてんのか」
「てことはすばる君もサボってるやん」
渋「は?当たり前やろ」
何言うてんの?ちゃうねん。
二人ともサボりはもうボケやん。
渋「…てか、どうしたんそれ」
「それって?…あー」
持ってたシャーペンの先端が、
今度は私の髪に向けられる。
自分でもまだ違和感のある…
真っ黒な髪。
「…明るいの飽きてん」
渋「ふーん…」
それだけ言うて、そのまま前を向いた。
少し俯けば、久しぶり過ぎて慣れない暗さが
サラッと顔の横に落ちてくる。
『でもやっぱ、黒髪が一番好きかもしらん』
その毛先を指でつまんで、
思ったよりも上手く染まったな、なんて思った。
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作者名:黒葡萄 | 作成日時:2020年2月7日 16時