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バイブレーション ページ5
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〜♪
「…あ、電話…」
二人の距離が離れて、言葉もなく、
再び花火を見上げた瞬間。
突然の着信音。
震えていたのは私の方の携帯で、
私も亮ちゃんもすぐに反応する。
亮ちゃんの視線を感じつつ、
そっと取り出したスマホの画面に表示された名前は…
錦「…出んくて、ええの？」
「…」
一定のリズムでバイブレーションを続ける携帯を
握りしめたまま、その質問の答えにためらった。
花火が空中で舞い上がるその光を、床が反射する。
しばらくして、遅れてやってきた振動が心を揺らす。
「…ごめん、亮ちゃん」
「A…？」
さっき言われた言葉をそのまま返して、
私はスマホを持って走り出す。
胸が苦しくて、苦しくて。
…だけど、拒めない。
教室を出て、花火に背を向けて、
明かりのない廊下を当てもなく進んだ。
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2020年2月7日 16時
