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店の外はすっかり暗くなっていた。
来る前とは違う、肌寒い空気が身体を覆う。
手元に視線を落とすと、
まだ亮先輩に掴まれたままの手首。
錦「…あ、ごめん、勢いで連れ出してもうた」
「いえ…」
錦「勝手なことしてごめん」
「そんな、謝らないでください」
正直ほっとしてる。
もうこれ以上あの場にはいられなかったから。
だから、むしろ感謝したいくらい。
潤んでぼやけた視界のまま、地面を見つめた。
錦「…そうそう上手いこといかへんか、」
「…」
錦「普通に考えたら、何の保証も無いのに
今の安全な日々捨てろなんて無理な頼みやし」
冷静に紡ぎ出される言葉は、
どれも間違っていない。
世間一般、当たり前のこと。
それでも悔しい自分がいた。
見つめていたコンクリートが、
またじわじわとぼやけていく。
錦「…でも、」
ぽん、と頭に柔らかい感触。
顔を上げると、優しい瞳と目が合う。
錦「諦められへんよな、笑」
そう笑って、私の頭を撫でた。
くすぐったくて瞬きをすると、
溜まっていた涙がこぼれる。
錦「大倉ごときで落ち込んでる場合ちゃうで」
「ごとき、って、笑」
錦「今のアイツは本当の意思やない気がするし、
俺は絶対戻ってきてほしい」
その涙を、亮先輩が指で拭う。
またにこっ、と微笑むから、
悲しみも昇華されていって、
「…私もです」
色んな感情に包まれて隠れてた決意が、
また見えてくる。
錦「まだこれから、
他に四人も引き戻さなあかんねんから 笑」
「ですね、笑」
錦「とりあえず日改めてまた説得するしかないな」
「…はい、頑張ります」
錦「うん、俺も頑張る」
涙も落ち着いたので、深呼吸をして、
二人で歩き出した。
冷たい空気が、逆にすっきりさせてくれる。
錦「…けどさっきのAの言葉とか
結構響いてたと思うで」
「え、本当に？」
錦「あの大倉が
Aに言われて何も思わん訳無いって」
「そうですかねぇ…」
錦「…キスしてたん、嫌やった？笑」
「まさか、笑」
錦「ほんまに？」
「はい…でも、お金貰ってたのは
流石に無いかなと思いました」
錦「うわAっぽい、笑」
ゆらゆらと、遠くの街明かりが揺れている。
…実は、ほんのちょっとだけショックだったのは
言わないでおく。
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黒葡萄(プロフ) - ゆっちさん» ありがとうございます！とても嬉しいお言葉です…。今まで以上に書くのが遅くなってきているので、頑張ります笑 (2018年8月9日 10時) (
レス) id: b14b83fbb2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっち - 本当にこの作品がめっちゃ好きです！最近そんな更新されてないので更新しちゃってください！これからも応援してます！ (2018年8月9日 8時) (レス) id: 97646d7482 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - おおおいさん» ありがとうございます！！ (2018年8月4日 5時) (レス) id: b14b83fbb2 (このIDを非表示/違反報告)
おおおい - この作品の更新があるたびに一人で「おぉ、、、、、!」(いやっふぅ〜!!!)←心の中でさけんでます(((続きが気になるぅ! (2018年8月3日 21時) (レス) id: b4b5488299 (このIDを非表示/違反報告)
黒葡萄(プロフ) - 春歌さん» ありがとうございます！ (2018年7月30日 18時) (レス) id: b14b83fbb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒葡萄
| 作成日時：2018年7月4日 18時
