母 ページ6
｢母さん。入ってもいい？｣
｢えぇ。｣
恬が静かに戸を開ける。
｢あら、貴方がAさんね。｣
｢は、はい！Aです。｣
私がお辞儀をすると、恬のお母さんは目を細めて笑った。
恬のお母さんは、恬とよく似た可愛らしい顔立ちで、長い黒髪には艶があり、名を“丐[かい]”という。
恬のお母さんの横には、恬の弟だと思われる男の子が。
まだ幼いのに、とてもしっかりとした口調で言った。
｢蒙毅[もうき]です。あの...何とお呼びすれば良いでしょうか？｣
｢あ、えっと...｣
私は、何と答えれば良いのか分からなくて、恬の方を見た。
恬は微笑んで、｢姉上、に決まってるでしょ。｣と言った。
私は、なぜだか分からないけれど、身体中が熱くなって恥ずかしい気持ちになった。
名前では呼びにくいから。
理由なんて、それだけのはずなのに恬の弟に“姉上”と呼ばれることが嬉しいと思ってしまう。
｢姉上。｣
｢はいっ！！｣
私は、勢いよく振り向いた。
｢い、いえ、ごめんなさい。練習です...。｣
そんな蒙毅くんが可愛くて、つい頬がゆるむ。
｢っていうか、またやってたの？｣
恬が言った。
私は何のことだか分からなかったけれど...。
｢か、母さんしか一緒にやってくれないから。｣
蒙毅くんがプイ、と顔を背ける。
｢兄上が一緒にやってくれないからだよ？｣
私は、何のことか分かっていないけれども、恬のことを素早く睨んだ。
｢いや、ちょっと待って。｣
恬が慌てて顔の前で手を振った。
｢これのどこが楽しいの？｣
私から視線を背けて質問する恬に、蒙毅くんが答える。
｢状況を想像して、どうしたら相手に勝つことができるかを考える。剣を持って戦うことなんかよりもよっぽど楽しいよ。｣
そう言う蒙毅くんは少しだけ苦しそうで、剣術よりよっぽど楽しい、これが本心ではないのかな、なんてことを少し思った。
話を聞いているうちに、だんだんと言っていることが分かってきた。
蒙毅くんは、盤上で戦をしているんだ。
だけど、どうして恬は嫌いなんだろう。
それにこんな難しいこと誰に教わるの？
｢母さんの方が良い相手になるじゃないか。｣
私が考えている間にも、話は続いていた。
｢母さんは、あの茗[めい]家の娘だよ？｣
恬は、呆れているような、だけど少し寂しげな声で言った。
｢茗家？｣
私が聞き返すと、
｢えぇ。私の実家・茗家はね...｣
丐さまは、優しく教えてくれた。
次回...血筋
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ももか(プロフ) - 丸さん» ありがとうございます！！嬉しいですー！！更新頑張ります……！！ (2022年5月5日 20時) (
レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
丸 - 楽しみに待ってました！！なんかめっちゃ楽しみになってきた！！ (2022年5月5日 0時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» なるほど！！！それも面白いですね(o´艸`)妄想が膨らみます！！ (2022年3月28日 22時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
丸 - ももかさん» いえいえ、はい、かっこいいです！！信も主さんのこと恋したりするのかな…そしたら恬が怒るなぁ、、と感じに毎日妄想したりしてます笑 (2022年3月28日 20時) (レス) id: ae8d47718e (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 丸さん» 嬉しいです！！ありがとうございます！m(__)mここからの蒙恬かっこよすぎますよね！！ (2022年3月27日 21時) (レス) id: 51abeda63b (このIDを非表示/違反報告)
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