11枚目 ページ13
ベッドの上に正座する夫婦。夫の手には汗が、妻には短剣が握られている。
「……ラギファルト大帝国は、世界最古の国」
「おー」
ルビーみたいな瞳を長い睫毛で遮り、リオナが語り出した。
「昔はとても温厚な国だったらしいの。自身の豊かな資源を他国に配給していたとか」
「え、何それめっちゃいい国……だった、と」
Aの言葉にリオナはええ、と頷き、顔を上げる。
「それが俗に言うユートピア。努力で得た技術で、誰もが幸福に暮らす幸せの国」
Aが彼女の瞳を見ると、リオナはまた俯きがちに顔を伏せた。
「でも、隣国のザカリア公国が攻め込んで、全て変わってしまった」
今は亡きザカリア公国が攻め込んだ時、ラギファルト大帝国は容赦なく滅亡させた。女子供も関係なく抹殺した。
「……重たい話なこった」
Aは紅い眉を潜め、瞳の光を失う。この国の歴史なんざ、全く知らない。
「それから、この国は鎖国。他国への配給も無くなったわ。それどころか、どんなに他国が貢いでも、最終的には領地を奪うようになった」
わかる?とリオナはAに近づいた。
「この国は腐っているの。もう駄目なのよ。他の国は結束してこの国を潰そうとする。私だって__」
「それは、俺が魔王じゃ不服ってことか?」
Aは、え、と言葉を詰まらせるリオナの手首を掴んだ。
緑の瞳がぎらぎらと鈍く光る。
「俺がこの国を変えるんじゃ駄目なの?」
「村人にそんなこと、できるわけないじゃない」
「できるさ」
Aはベッドから降り立つと、ストレッチしてみせる。リオナはその様子を訝しげに見つめた。
「よっ……と。俺はやればできる子だと信じてるんだよ。おっさん舐めんなよお嬢ちゃん」
「ふーん」
あれ、反応薄。
Aが大丈夫かな、と心配する中、リオナはふふっと笑った。
「戦をすれば土地は荒れる……ラギファルト大帝国が良くなれば、一番いいですよね」
信じてみますよ、旦那様。
「ヤバい萌える」
「手が滑りそう」
「すいません」
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モモハ(プロフ) - 鬼羅.。さん» うおお、めっちゃびっくりした。ありがとね(*'▽') (2018年8月3日 20時) (レス) id: 7ea4a0fdca (このIDを非表示/違反報告)
鬼羅.。 - 一位おめだぜ!本当に応援してる!これからも楽しみにしてるから!頑張ってね!一言ですまんぜ! (2018年8月3日 20時) (レス) id: a6f636573d (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - うららkさん» ありがとうございます(*´∇`*)!先日はアドバイスいただき本当にありがとうございます。うまくできてるかわかりませんが、これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2017年11月8日 20時) (レス) id: c93a555509 (このIDを非表示/違反報告)
うららk - おお! 1位おめでとうございます! 陰ながらあなたの作品をいつも応援しています! 更新頑張ってください。こんなに面白いのはあまり読んだことがないので、ワクワクします! (2017年11月8日 18時) (レス) id: 469d2368ce (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - ことね提督 元燐華さん» めっちゃ嬉しいです(`・∀・´)ありがとうございます! (2017年10月28日 17時) (レス) id: c93a555509 (このIDを非表示/違反報告)
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