179枚目 ページ46
今の長には随分とお世話になった。それこそ、私たちがこの仕事を始めた時から。ずっと。
でも、これから生き抜けるために。強い人たちのところに着いていくのが大切。
だから長を捨てる。縄を解かれ血が十分に通い始めた自分の手を見つめ、軽く開閉させる。それから、新しい長たちに向き直った。
「……前の長は、“百鬼夜行”という裏組織の頂点にいる男。」
「名前はオロチ。他にもいっぱいある、本名じゃないから……もう、知ってると思うけど。」
アズマやルイカたちはうんうんと頷き、Aたちはへえ、と目を細める。イナリが小首を傾げた。
「貴方達は、どうしたいの。“百鬼夜行”を。その長を。」
「それはもちろん、犯罪に手を染めている方々は粛清します。」
ルイカが凛とした声で告げる。イナリは一瞬顔を陰らせるも、うん、と一つ頷いた。タマはそんな姉妹を横目に見て、口を結ぶ。
黒い狐は平淡な声音で続ける。
「わかった。」
その晩は、作戦会議で夜を明かした。まあロンドとか寝てたけど。
翌日、首都アケボノに佇む城の謁見室には人が集まっていた。
王座に座るは、口角を上げながらも殺気の止まない女帝ミヤビ。複雑な表情で来訪者を睨めつけたスオウ。ロウエンはにこにこと、久々に会った自身の弟子を眺めている。どうやら空気を読む力は無いらしい。
対する来訪者チーム。リオナは毅然として佇み、対してAは所在なさげに身を置いている。ロンドとソフィは観光客のように、不躾にミヤビを見上げる。特に魔道士の方は胸をガン見しているようだ。ヤマトはスオウから少し目を逸らし、アズマは遠慮なくキラキラした目を向けてくる猪の獣人の師匠に顔を顰めさせた。そして、ルイカは胸を張って己が母の前に立ちはだかり、包帯の巻かれた目をそちらに向けた。
ミヤビは怒りを押し殺した声で周りを刺す。
「妾は……妾はのう、ルイカ。そなたらを襲った輩を捕らえよと言ったのじゃ。それが……どうして仲間になっておる!!」
手に持つ扇をガンと王座に打ち付け、肩をいからせる女帝。動く度にたわわな胸が揺れ、ロンドが小さく歓声を上げた。
がはは、とロウエンが豪快に笑う。腕を組んではにんまりと笑った。
「敵を仲間にするとはなかなかなものだ!さながら、ドラゴンクエ⚫トの如く」
「だああお師匠黙んなさいな!」
「ロウエン黙らっしゃい!」
そんなアズマとスオウからのダブルパンチに、ロウエンはスンと鼻を鳴らして黙った。
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モモハ(プロフ) - そらもちさん» あざーっす!アッもしかしたら中だるみなんでもないッス!てへ!(棒) (2019年4月28日 11時) (レス) id: 98af2b3beb (このIDを非表示/違反報告)
そらもち - 面白いっすね!続編も読むぜよ(`・ω・´) (2019年4月28日 10時) (レス) id: 35f31302c7 (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - ひかげのこさん» ありがとうございます!めっちゃ張り切ります(*´ω`*) (2018年12月12日 17時) (レス) id: 0785378cec (このIDを非表示/違反報告)
ひかげのこ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました!更新頑張って下さい! (2018年12月12日 15時) (レス) id: 256366ff3c (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - 866さん» がんばります!(テストヲヤッツケタラ() (2018年10月8日 18時) (レス) id: 937a2c5722 (このIDを非表示/違反報告)
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