167枚目 ページ34
｢意外と追いつくの早いわね｣
僕たちを置いて行ったにも関わらず、あっけらかんと笑みを浮かべたアズマに、多少の憤りを覚える。
放置プレイは好きだ。だが、一応これでも仕事を果たそうという気概はあるつもりである。こんな雑なものが認められてたまるか、そもそも放置の概念というものはだな。
｢あら、ヤマトまで単独行動！？じゃあ誰が今ルイカ姫守ってんのよ！｣
驚嘆の声につられ顔を向けると、目をぱちくりとする僕の剣術の師範。師範が何故ここに……と、必然的に視線は担がれた殿方に行ってしまう。師範とは違ったタイプの美青年。師範はスラッとした痩身の力持ちだが、担がれた人はそこまで力はなさそうだ。心做しかぐったりしているようだが……。
色々察して、つい両手で口元を覆った。師範がよくやるびっくりポーズだ、癖が移るなんてごめんなんだがな。
｢師範……確かに女性の噂は聞いてないが。まあ、そうだな、男か……フラグが立たない程度にやってくれ｣
その間に僕は、師範の隣に居る女性と親しくなるから。
そう続けようとしたところで、師範にすぱんと頭を叩かれた。その箇所を抑え頬を膨らませれば、いつもの事ながら文句を唱え始める。
｢男に叩かれる趣味は無いぞ僕｣
｢馬鹿！｣
何処が馬鹿なんだろうか。
僕らがそのやり取りをしている間に、どうやら財布の返却は終わったらしい。ふう、とアズマや師範の隣に居る女性は息を吐く。
野次馬が引いてきた頃、聞き慣れた声が耳朶を打った。
｢や、やっと追いついた｣
あ、忘れてた。
肩で呼吸するルイカ様は、杖をぎゅっと握りしめて周囲に気をつけつつやって来た。しかし、人にはまるでぶつからない。視界などとうに関係無くなったのだろう、強みか弱みかはよくわからないが。
はあはあと荒い息遣いに、ほんのり桜色に紅潮した頬。ここで潤んだ瞳が見上げてくるのもまた一興だが、目が隠されているというのもこれはこれでアリかもしれない。
｢ナシだから。そもそも身近な人ですらそういう思考に費やすとかまじないわ｣
どうやらアズマには、僕の思考は簡単に汲み取れるようだ。何それ凄い。
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モモハ(プロフ) - そらもちさん» あざーっす！アッもしかしたら中だるみなんでもないッス！てへ！(棒) (2019年4月28日 11時) (
レス) id: 98af2b3beb (このIDを非表示/違反報告)
そらもち - 面白いっすね！続編も読むぜよ(｀・ω・´) (2019年4月28日 10時) (レス) id: 35f31302c7 (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - ひかげのこさん» ありがとうございます！めっちゃ張り切ります(*´ω｀*) (2018年12月12日 17時) (レス) id: 0785378cec (このIDを非表示/違反報告)
ひかげのこ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！更新頑張って下さい！ (2018年12月12日 15時) (レス) id: 256366ff3c (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - 866さん» がんばります！(ﾃｽﾄｦﾔｯﾂｹﾀﾗ() (2018年10月8日 18時) (レス) id: 937a2c5722 (このIDを非表示/違反報告)
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