159枚目 ページ26
ど、どうしよう……!
不思議な狐のお面を被る女の子たち。彼女たちは袂から黒い豆のようなものを取り出すと、私たちの方を目掛けて思い切り投げつけてきた。
咄嗟に目をつぶって身を固くするも、一向に当たる感触はない。恐るおそる目を開けば、そこには呻きながら地面に膝をつくロンドさんの姿があった。
「……ろ、ロンドさん!?」
傍に駆け寄り身体を揺するも、小さく喘ぐだけ。意識が遠のいているようで、途端に私の脳内は真っ白になる。
「何で、こんな豆で、どうして……っ!」
「鬼うち豆。貴女は、知らない?。」
ぽつり、と黒い羽織をたなびかせるイナリさんが私の独り言に応じる。
「鬼うち豆は、凄い。鬼は外、魔は外。相手の力を、奪う。」
相手の力……ロンドさんの魔力も全部、この小さな豆に獲られた?なんて怖い豆なんだろう。
別にこの物語を綴る方が豆嫌いなわけではないけれど。
とにかく、どうしよう、このままじゃロンドさんが危ない、けど、私はどうすれば。
「イナリ。どうする。」
「……連れて行く?。」
二人はどんどん近づいて来る。落ち着き払ったその調子は、本当に少女の齢なんだろうかと不思議になるくらいだ。私はせめてもの思いでロンドさんを後ろに庇って、ただただ二人を見上げるばかりだった。
その時だった。
「アンタら、何してんのよ」
____おかまの声がした。
「おかまじゃないわ!アタシはオネエ!誇り高き剣士なんだから!」
おかまとオネエの違いってなんだろう……って、そうじゃない。
私はぶんぶんと首を左右に振って、意識を現実に取り戻す。パニックに陥っていた脳内も多少は整理できたようで、ようやく辺りを把握できた。
「貴方は確か、女王の臣下の。」
オネエさん(名前はまだよくわからないから一応)の登場によって、少し距離を取った少女たち。タマが発した言葉を、イナリが続ける。
「……オカマ剣士。」
「オカマじゃないっつってんだろ!!」
思わず地声の低い声を荒げてしまっている、オネエさん。ええと……。
私は名前をおそるおそる尋ねてみることにした。
「すっ、すいまっせんん……あの、えと、その、お名前はっ……!」
「ああん?」
声を荒げた反動で息を荒くさせながら、その人は私の方を向く。びっくりするほど綺麗な美男子で、思わず目を丸くしてしまった。
「アタシはスオウよ!れっきとしたオネエですからねっ」
……オネエ強調するなあ、なんて。
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モモハ(プロフ) - そらもちさん» あざーっす!アッもしかしたら中だるみなんでもないッス!てへ!(棒) (2019年4月28日 11時) (レス) id: 98af2b3beb (このIDを非表示/違反報告)
そらもち - 面白いっすね!続編も読むぜよ(`・ω・´) (2019年4月28日 10時) (レス) id: 35f31302c7 (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - ひかげのこさん» ありがとうございます!めっちゃ張り切ります(*´ω`*) (2018年12月12日 17時) (レス) id: 0785378cec (このIDを非表示/違反報告)
ひかげのこ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました!更新頑張って下さい! (2018年12月12日 15時) (レス) id: 256366ff3c (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - 866さん» がんばります!(テストヲヤッツケタラ() (2018年10月8日 18時) (レス) id: 937a2c5722 (このIDを非表示/違反報告)
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