80枚目 ページ38
「用心棒?」
イザベラは胡乱そうにヴァレンタインを見やり、嘲笑うかのように口角を上げる。普段は町で花を売り、市場のアイドル的存在である彼女の可愛さはこんな時も尚、輝いていた。悪どい笑みは妖艶で、様になっている。Aを股ドンから解放した。
「へェ、ってことはある程度のお偉いさんってことですよね?」
「まぁ、一応は」
(なんてったって王様だしなぁ)
ヴァレンタインは内心苦笑する。冷や汗をかきながら答える
じゃあさ、とイザベラが提案した。
「慰謝料は要らない。代わりに、お姉ちゃんの夢を叶えて欲しい」
「__夢って?どんなん?」
「出来れば
あ、枕仕事は駄目だぞ、と彼女が付け足すと、周りの空気が変わった。魔王と従者は顔を見合わせ、もう一度彼女を見やる。
主が言った。
「詳しく聞かせて?」
「あ、お姉ちゃん!ただいまぁ♡」
「イザベラ、おかえりなさい。あら、そちらは……」
再び花屋に現れた二人の客に、不思議そうに首を傾げたお姉ちゃん。やっぱりボクの姉はとても綺麗で素敵な人だ。ボクはまた笑みを浮かべる。
「えっとねぇ〜?この人たちにお姉ちゃんの
「アレ?ああ、いいわよ。ふふ、珍しいわね」
華やいだ笑みで許諾したお姉ちゃん。ボクがありがとう、大好き!と抱きつくと、しっかり受け止めてくれた。
そのまま店奥の綺麗な階段を使い、二階__居住スペースにやってきたボクとおっさんと胡散臭い男。お姉ちゃん部屋の隣、“作戦室”に入ると、二人をパイプ椅子に座らせる。暖色のLEDがボクらを照らす中、ボクは二人の後ろにある棚から大きな紙を取り出した。二人の間に割って入り、その紙を事務机に広げる。
おっさんが息を呑む音が聞こえた。アホ毛がぴょこぴょこ揺れている奴が、こちらを問いかけるように見たので、ボクは頷いて答えた。
「これはお姉ちゃんが作った。この国の政策案だ」
「すげェな……」
おっさんが感嘆するのも無理はない。模造紙には細かな文字がこと細やかに書き込まれており、お姉ちゃんが役場に行って確かめた予算や、それの割り振り、そしてそれらの改善案が書かれていたからだ。
太陽が沈み始める。
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866 - モモハさん» どーいたしまして!! (2018年7月15日 20時) (レス) id: 4d6199feac (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - 866さん» ありがとうございます!そう言っていただけるともう、あれです、昇天します()ありがとうございます! (2018年7月15日 16時) (レス) id: 7ea4a0fdca (このIDを非表示/違反報告)
866 - たまにメタなとこが出る、それがいい!! (2018年7月15日 7時) (レス) id: 4d6199feac (このIDを非表示/違反報告)
866 - 凄く面白いです!! (2018年7月15日 7時) (レス) id: 4d6199feac (このIDを非表示/違反報告)
モモハ(プロフ) - リックンさん» そうなんですか、最近低浮上気味なんですが……これからも頑張ります(*´∀`*) (2018年6月27日 21時) (レス) id: c93a555509 (このIDを非表示/違反報告)
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