俺は魔王で嫁が勇者でイベントあり過ぎてもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】

63枚目 ページ21

「か、れし……？」

「そ、彼氏！」

幸せそうに微笑む親友に、動揺を隠せない私。あぁ！と裏返った声をあげ、人差し指を立てる。

「甘口とか辛口とかのヤツ」

「それカレーだよ？」

「花咲爺さんが花咲かせた……」

「枯れ木だよ？」

「歳をとった」

「それ加齢……リオナ？」

ぜえはあと建物の柱に額をついて荒く呼吸を繰り返す。

マジか。え、ふーん。

ところで、と話を振ろうとした時、遠くから駆けてくる足音。

「エシナモ！てめェ勝手にぶらついてんじゃ……あ、王様」

「あ、ああ……ラファエル」

息を弾ませ顔を覗かせた、勇者みたいな溌剌さを誇る好青年。蒼い瞳がエシナモを捉え、ずかずかと歩み寄る。おい、という声とは裏腹に、優しくその手に触れた。

「王様とリオナ様が困るだろ。ジジイは別にいいけどよ」

「まあそうね」

「ラファエルとエシナモか……そうか」

「俺の扱い⁉」

殆ど空気と化した主人公の久々のセリフも虚しく宙に舞い、初々しいカップルは身を寄せて王家の兄妹に微笑んだ。

「リオナ。私も幸せになれるよね？」

「リオナ様。俺、コイツをぜってェ幸せにします」

「ふふ、お似合いよ。結婚式は是非お城でね？」

はい！と勢いよく返事を返し、バカップん゛ん゛ラファエルとエシナモは庭から去っていった。

Aマジ空気。

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