今夜君が欲しい【前編】

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「ねえー最近さ、バイトの北山さんに付きっきりじゃない？」
「しょうがないだろ。部長命令なんだから」
「バイトなのにガヤに教育係を任せるなんて、やっぱり北山さん、部長の愛人って本当なんだねー」
「まあ。確かに。あの鬼の部長が北山には激甘だよな」
「……ガヤとサボれなくて仕事も楽しくなーい」
「でも、北山のおかげで最近ウチに帰れてんだから、いいじゃん」
「……そうだけど。」




ガヤの言う通り、この年度末の番組編成でくっそ忙しい時によくもまぁ未経験のバイトなんて入れたなと内心毒づいていたけど、北山さんはそれをたった一日で覆した。



今じゃ、この仕事何年目ですか？って聞きたくなるほど社内でも馴染んでる。まだあの人が来て、2週間程しか経っていないのに。



ガヤは部長命令で、北山さんの教育係を任されてる。
ガヤは真面目だから、決して北山さんに手を出したりしないと見越しての人選だろう。


とりあえず、部長の北山さんへのえこ贔屓が尋常じゃない。



ガヤとは一緒に住んでる。
局の近くは家賃の相場も高いから、二人で住んだ方がいいねっとなり、都内高層マンション真ん中の階付近の2LDKが2人の愛の巣だった。



帰れていなかった此処に、帰れるのはとても幸せだった。
ご無沙汰だったモンモンと擽っていたものは、毎日溜まることなく、放出できている。



俺の下で組み敷かれながら啼く恋人を毎日拝めることは、確かに北山さんに感謝しなければならないことだった。



ガヤは毎日は「イヤだイヤだ」と拒みながらも、受け入れ時には求めてくるから、満更でもない。
ホントは俺よりも性 欲が強いんじゃないかと不安を掻き立てる程、淫れるガヤに…心配になる時もある。



料理上手で、綺麗好き、読書好きで、アロマやバスボム等香りに目がない。



そんな女子力高いガヤを本当に愛してる。



こんな素敵な人が、俺を選んで付き合ってくれてる事が未だに信じられなくなる事すらある。



夜は別人のように、可愛さを捨て妖艶さを纏い、下半身を擦り付け…誘惑してくるそんな彼を誰が手放すもんか。



風呂上がり、二人で晩酌をしながらソファーの少し高めのアームレストに背と腕を預け互いに寄り掛かっていた。


蒼い布のソファー。
クッションもある。ガヤが勝手に選んで買ってきたものだ。白が基調にされ黒い線が入っているもの。



ガヤがクイッと気泡が立つシャンパンを飲み干しサイドテーブルにカタッと置くのと同時に、その唇を塞いだ。

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