【REBORN】寡黙少女の奮闘記 (ページ10)

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第８話ページ10

突然の衝撃によってへこんだ木製の机。
その上に置いてあった紙は見るも無惨に歪んでいた。

木屑をぱらぱらと散らしながら金属製の“それ”は離れていく。

(そういえばいました…)

この学校で唯一、未だ私に話しかける人が。

息を呑み、ゆっくりと顔を上げる。
そして目の前に佇む人物の名を口に出した。

『ひ、雲雀さん…』

「やあ」

冷え切った錫色の瞳で私を見下ろす彼は、この学校を牛耳る最強の風紀委員長──雲雀恭弥。

皆が私と距離を置く中、彼だけは別だった。
しかしそれは善意からくるものでは決してない。

事実、たった今トンファーで頭を殴られそうになったのだから。

以前、私はひょんな事から悪い意味で雲雀さんに関心を抱かれるようになってしまったのだ。
その日以来、彼は時々ふらりと現れては今みたく突然襲いかかってくるようになった。

正直勘弁してほしかった。
いや、そもそも全部私が悪いのですが…。

けれども今更謝ったって見逃してくれるわけではない。

と、とりあえず自分が無実であることを主張しよう。
あの日と違って今日はまだ何も校則違反を起こしていないのだから。

『ぁ…きょっ、今日は、私何もしっ、してません…！』

彼の前では人見知りも口下手も起きない。
冗談抜きに、死ぬかもしれないから。

「まだ、でしょ？一昨日と同じように下校時刻過ぎてまでここに居座る可能性だってある」

そう言って雲雀さんが私の顔面目がけてトンファーを振るった。

『ひぃっ！！』

「だから再犯する前に咬み殺してしまおうと思って」

鼻先にちりりと熱が走った。
何とかギリギリのところで避けることができたようだ。

それを見て楽しげに笑みを浮かべる雲雀さんとは反対に、私は恐怖で身を震わせた。

(ああ、いつもの追いかけっこが始まる…！)

休む事なく襲いかかってくる攻撃を机を挟んで何とか避け続けた。
まるで狩から逃れようとするネズミのように逃げ惑う。

「相変わらず避けるばかりでつまらないな、君は」

「反撃してこないのかい」という台詞と共に、雲雀さんは机を飛び越えてトンファーを振り下ろした。

『！！ぁ、危なぃ…っ！』

間一髪のところでそれを避ける。

しかし

「捕まえた」

予想外の攻撃に体制を崩してしまい、床に手をつく。

そんな私の首元に「逃さない」と言わんばかりにトンファーが押し当てられた。

目前に佇む彼の瞳は、獲物を捕らえた肉食動物のように、静かに燃えていた。