【REBORN】寡黙少女の奮闘記 (ページ16)

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第１４話ページ16

思わず持っていた瓶を落としかけた。

(ど、毒って！彼そんなことしたんですか？！)

そんな人に、私あんな失礼なことをしてしまったのか。
大丈夫だろうか。私も毒を守られたりして…。

そう思いつくと嫌な汗が全身から噴き出す。
不安と動揺で持っていた薬瓶をぎゅっと握った。

どうしようと、頭の中でぐるぐると考え込んでいく内に思考が悪い方向にどんどん偏っていくのが分かる。

「──さん、風間さん！」

『！！』

誰かに名前を呼ばれていたことに気づき、顔を上げた。
雑談をしていた二人が、私のすぐ目の前に立っていた。

『ぁ…』

「ウチらもう帰るからさ。後の仕事と保健室の鍵、よろしくね」

『ぇ…あ…』

ぽいっと投げられた鍵を落とさないよう何とか受け取る。
私が頷くのも待たずに、彼女たちは帰ってしまった。

…別に良いのですが。いつものことですし。

止めていた手元を再び動かし、片付けやら掃除やらを一人で黙々と進める。

ある程度やるべき事が終わって手持ち無沙汰になったとき、ふと先程の続きを考えた。

『…、…』

しばらく頭を捻った結果、やっぱり被害に遭う前にちゃんと謝罪した方が良いという結論に至った。

しかし、それは再び自分の頭を悩ませることになる。

(沢田綱吉さんにいつ謝ろう…)

そう、謝るタイミングがないのだ。

彼は普段から図書室に来ることはない。
クラスだって違う。授業も合同でやらない。

そうなると、もう教室に行って直接……。

『む、無理無理、無理ですっ…！！』

だめだ。
他のクラスの人が急に入ってきたら注目されること間違いなしだ。

そんな沢山の視線が集まる中、謝罪？

そんなことできるわけがない。
何の拷問ですか。

やっぱり根気強く機会を待っているべきか。
いや、でもその前に私にも毒を盛られでもしたら……。

『…、…』

とりあえずいつでも謝れる準備はしておこう。
そう心の中で意気込む。

最後に、換気のため全ての窓を開けると、吹いてきた夕方の涼しげな風が汗ばんだ肌に染みた。

随分と静かになった空間で全ての業務をやり遂げて、イスに腰掛け全身の力を抜く。

校庭にまだ残っている人達の声を聞きながら瞼を閉じ、しばらくの間、1日中酷使していた体を休めていた。

聞こえてくる生徒達の声もまばらになってきた頃。

「すいませーん…。だ、誰かいますかー？」

ドアを開ける音と共に、控えめな男子生徒の声が耳に入った。