【REBORN】寡黙少女の奮闘記 (ページ11)

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第９話ページ11

冷たい鉄の感触にぶるりと身を震わせると同時に、溢れんばかりの後悔が私の心を襲う。

あの時、あんなことしなければ。
あんな、雲雀さんの目をつけられるような事しなければ良かった。

そんな思いが頭を埋め尽くす。

(ああっ、私の大馬鹿者…！！)

どうしよう、遂に咬み殺されてしまう。
今まで何とか逃げ切ってきたけど、もうだめだ。

諦めたように瞼を閉じると走馬灯のように彼との出会いの記憶が脳内に流れ出す。

あの日の私は無知だった。
たった一度の校則違反でこんな目に合うことになってしまうなんて、知りもしなかった。

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あれは確か入学して間もなかった頃。
校庭の桜もまだ青葉をつけていなかった4月上旬。

学校ではまだ授業が始まっていなくて。
その代わり、クラスメイトの交流を目的としたレクリエーションが行われていた。

当時の私はそれがあまりにも憂鬱で仮病を使って抜け出したのだ。

サボりだということはわかっていたけれど、友達のできない私にとってそれは無駄な時間でしかなかった。

そんな言い訳を並べながら、あのときの私は保健室へ向かっていた。

しかし、中々辿り着けなかった。

それもそのはず、入学して数日しか経っていない新入生に校内の造りなどわかるわけないのだ。

その事実に気づいたとき私は大きなため息をついた。
そして、自分で探すしかないという結論に至った。

廊下を歩き回り、長い階段を登り目的地を探す。
けれど見つからなかった。

自分の労力が無駄になっていくのを感じながら、諦め半分で三階へ続く階段を上がって廊下を歩いていたときだった。

『…』

不意に私の視界に、“図書室”という文字が目に入った。

本好きの私はその文字を見た瞬間、本来の目的も忘れて吸い込まれるように扉を開ける。

『わ……』

途端、室内の窓から吹く爽やかな風が頰を撫ぜた。

それに混ざって紙とインクの匂いが、私の大好きな香りが鼻腔をくすぐった。

嬉々とした気持ちで室内に足を踏み入れる。

誰もいない、静かな教室。
外の喧騒から切り離された空間。

何とも言えない心地良さと親しみやすさを感じ、無意識に笑みを浮かべながら本棚に近づく。

中学生向けの大衆文学に著名な純文学作品。
普段では手をつけないようなジャンルの本もある。

様々な系統の本に私は心を弾ませながら、その中から惹かれるものを探す。

迷いに迷った結果、私は少し古びた時代小説を手に取った。