たからばこのなかみ／ケニー ページ5
好きな人ができた。
「うっそ！！ケニーそれマジ！？」
「誰なの？クラスの女子！？」
スタンもカイルもこういうときだけ興味深々といった感じで話しかけてくる。
フードかぶったままだから、聞こえにくいはずだけど。
「どーせケニーの好きなビッチちゃんだろ、貧乏人にはピッタリの」
サノバビッチ！！なんてこと言うんだ、このデカッ尻！！
言わなきゃよかった、なんて気持ちが後から追いかけてくる。僕は三人がクラスの女子から誰かを探っているのを尻目に、さっさと教室を出た。
―僕が今片思いしているのは、Aだ。
好きになったきっかけは単純なもので、
初めて同じクラスになったとき、ただ彼女の容姿に一目惚れした。
当時は彼女を目で追い、夢に出てきたり、彼女で抜いたり、なんて最低なこともしてきた。
初めは容姿だけに惚れていたのに、Aと同じクラスで過ごしていく度に、彼女の性格も素敵に思えた。つまりは、彼女にどっぷり、片思いしているのだ。
でも、Aはとても僕とはつりあわないような気がしていた。
どちらかというと清楚な感じだし、きっと彼女もクレイグみたいなクールな奴の方が良いと思う。
クラスメイト、というスタートラインが同じでも、もう勝てない気がいっぱいいっぱいで。
今にも不安の波に飲み込まれそうだ。
*
帰り、偶然にもAを見かけた。スクールバスで、僕から斜め前に座ってる。
彼女はクラスで仲の良い女子と一緒だ。一方、寂しいことながら一人で座席に座る僕は、手持ち無沙汰なので彼女を観察することにする。
「A、好きな人いるんでしょ？」
！
いきなり確信を突くような会話に、思わず息が詰まった。いけない。ここで死んでは絶対にいけない。
「うん、同じクラスの」
これから先の事は聞きたくないかもしれない。でも、もし……Aの好きな人が、なんて考えて、嫌気が差した。
「誰なの、言っちゃえー！」
「こ、声大きいよ！じゃ、じゃあ、秘密にしててよ、」
―――
なんてこった。
死んでもいいくらい最高だ。
なぜだか、Aの好きな人が僕、という事実より、Aが僕の名前を口にしてくれたことの方が嬉しく感じた。
君に今すぐ伝えたくて、いつもよりバスを早く降りて、Aを追いかけた。
君にはちゃんと聞いていて欲しいから、フードを脱いで。
ねえ、A。
ずっとしまおうとしてたこの気持ち、
もう、伝えてもいいかな。
2015.07.30
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しらす(プロフ) - あっしゅき (2020年4月2日 17時) (
レス) id: 721cc084cb (このIDを非表示/違反報告)
もりた - すっごい好きです。続き待ってます。応援してます。 (2017年3月17日 6時) (レス) id: a88801d335 (このIDを非表示/違反報告)
ももえだ(プロフ) - 浅江さん» わーコメありがとうございます！！s19全話見ましたよー！トゥイークとクレイグが衝撃でした…ww (2016年2月3日 23時) (レス) id: 3e22522982 (このIDを非表示/違反報告)
浅江(プロフ) - そういやs19見てますか！？www (2015年11月22日 14時) (レス) id: 06b4bd4c52 (このIDを非表示/違反報告)
トマト(プロフ) - ももえださん» うっひょおおお！！更新嬉しいですー！！これからも頑張ってください！ (2015年11月3日 22時) (レス) id: 5a445ac752 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももえだ | 作成日時：2015年7月30日 13時
