◇２◆ ページ14
・
潤「うひ〜、暑かったね」
和「何その変な声(笑)」
パタパタと手でうちわをしながら店内へと入る。
休日だからかそこそこ人がいて。
・
思わず見てしまった楽しそうな家族連れ。
母親が、子どもに優しく笑いかける。
久々に、似てる人だなと思ってしまった。
――俺の、母親に。
・
――『かず、おかえり。学校楽しかった？』
・
和「・・・ぅわ、きた」
――トラウマ、とでもいうのだろうか。
人混みとか、大勢で盛り上がってる所とか、人の笑顔とか。
そういうのをさ、見てるとね。
――俺の心に、記憶に、波のように押し寄せてくる。
母親との楽しかった記憶があるからかな。
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そして逃げ出したくなるような、
しゃがみたくなるような、
そんな気持ちがじわじわといっぱいになる。
・
――やっぱり、人混みは苦手だ。
まぁ、基本的には大分平気になってきたんだけどな。
大学も、電車も、通学路も、バイトも人を避けることは出来ないし。
それに何より、今は太陽みたいな潤君で心が満たされてるから。
・
・
――でもまだ、完全に "あの事" から立ち直ってはいないのだろう。
・
潤「かーず？おいで？」
和「・・ん」
俺の顔を見て、分かったのだろう。
優しく腕をひっぱって人通りの少ないベンチまで連れてきてくれる。
俺は、情けないけど足が震えて潤君の腕に体重をかけて歩く。
潤「大丈夫、少し目閉じてな？もたれていいから」
和「・・ふぅー・・」
男同士なんて好奇な目で見る人もいるだろうに。
潤君はいつも気にしないで手を繋いで寄り添ってくれる。
そのぬくもりに集中してると段々と気持ちも落ち着いてくるんだけど・・。
和「はぁー・・」
今日はだめだ。落ちつけ、落ち着け俺。
久々にくる大きな気持ちに心臓がバクバク動く。
潤「・・似てたもんね」
和「ん・・」
潤「大丈夫、俺はここにいるからね」
和「・・」
少し目を開けて見上げると「ん？」って優しく見つめてくる潤君。
――俺がこうなると、潤君の大人のかっこいいとこが出てくる。
まぁ、恥ずかしいからかっこいいなんて言えないけど・・(笑)
・
それから、10分ほどたっただろうか。
和「もう大丈夫。ごめん」
潤「謝んないの〜。じゃあ行こうか？」
・
――「あんたなんて、産まなきゃよかった」
脳に響く言葉を、何とか振り払った。
・
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しょうちゃん(プロフ) - 続きが読みたいです！ (2020年5月19日 23時) (
レス) id: d034f78533 (このIDを非表示/違反報告)
梶 - おもしろかったです！たまに涙が出てくるようなシーンがあって話に夢中でした｡ありがとうございます♪ (2018年5月3日 12時) (レス) id: 11356a9e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みゅうな
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2017年8月18日 1時
