★《拾われものと兄》小津 蒔人 ページ12
.
閑静な住宅街の一角。
一際大きな洋館の前に、苦悶の表情を浮かべて倒れる少女がいた。
「うっ……はぁはぁ。」
「だ、大丈夫ですか！？」
そこに駆け寄ったのは、偶然玄関先の掃除をしていた蒔人。
「これは……！？酷い熱だっ、すぐに手当てしないと。」
蒔人は少女の身体を軽々と持ち上げると、家のリビングに急いだ。
そこにあるソファに少女を寝かせると、蒔人は看病の準備をするために立ち上がる。
ｶﾞｼｯ
しかし、そんな蒔人を少女の手が掴んだ。
「行かないで、おにい、ちゃ……」
「お兄ちゃん……？」
そう呟いた少女は力尽きたのか、深い眠りについたようだった。
蒔人はその言葉に引っ掛かりながらも毛布や氷嚢を取りに、リビングを後にした。
.
「起きたか？」
モゾモゾと毛布の中で動く少女に、蒔人は心配そうに問いかける。
「えと……ここは？」
「俺の家だ。門のところで倒れてたんだぞ。」
「あまり覚えていないけど…助けてくれて、ありがとうございます。」
蒔人の問いに答える少女は、少しは回復したように見える。
「単刀直入に聞く。さっき�犢圓�ないで、お兄ちゃん�瓩噺世い�けてたが、何かあったのか？」
蒔人の言葉に、少女はわずかに表情を固くする。
「兄が……もう1週間も家に帰ってきてないんです。」
「それってただ遊びに行ってるだけとかじゃ……？」
「私も、最初は友達の家や仕事先に泊まっているのかと思っていたのですが、全く連絡が取れなくて……。」
震える自身の膝を抱えて、少女は話を続ける。
「……私たち、早くに両親を亡くしているので2人で暮らしているんです。だけど、今までこんな事1度もなくて……。身内としての勘ですが、何か嫌な予感がしてあちこち探しているんですが……」
瞳の端に涙を浮かべながら、少女は蒔人に訴えかけた。
「お願いですっ、一緒に兄を捜してくれませんか？」
蒔人はその言葉に、目を閉じて頷いた。
「俺もこの家の長男だ。妹弟を失う怖さは十分に理解してるつもりだ。……だから俺が責任もって、お前の兄貴を見つけてやるよ。」
「ありがとうございますっ！」
その言葉に、少女は涙をこらえて頭を下げた。そして毛布を剥いで立ち上がろうとするが、蒔人に止められる。
「まぁ待て待て。その身体じゃ、捜しに行くのも大変だろ？いま、栄養たっぷりの�犒撒�サラダ�疝儖佞靴討笋襪�ら待っとけ。」
そう言って、蒔人はAをもう一度ソファに横に寝かせた。
.
・→←●《Merry Christmas》ルパパト from 魁利・圭一郎
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - 幽々華さん» お返事が遅くなりまして申し訳ありません！リクエストありがとうございます！第10章にて続編を書きますので、ぜひお待ちいただけたらと思います(^^) (2021年12月17日 0時) (
レス) id: d79e2b38c6 (このIDを非表示/違反報告)
幽々華(プロフ) - 別の機会にでも剣崎君メインの「嘘色の祝福」後日談が見てみたい…… (2021年5月29日 2時) (レス) id: 1e7a7481f9 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - 里香さん» ご感想ありがとうございます！強がる賢人と包み込む夢主ちゃん、という対比を意識したのでそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)オチの芽依ちゃん私も好きです♪笑 またよろしくお願いします！！ (2021年1月10日 22時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - あずきさん» お返事遅くなりまして申し訳ありません。明けましておめでとうございます♪不破さんがツン担当してるのも良いですよね！嬉しいコメントありがとうございます。また今年もよろしくお願いします(^^) (2021年1月10日 22時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
里香(プロフ) - 賢人くんのお話、ありがとうございました。夢主ちゃんと賢人くんの関係性、最高でした。一番最後の芽依ちゃんも可愛かったです。 (2021年1月10日 21時) (携帯から) (レス) id: a371ba2978 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くっきーー(ﾟﾚ゜) | 作成日時：2020年12月19日 20時
