Assortment of sweets (ページ34)

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出会いは喫煙所 S.Moriyama_02 ページ34

それからこの喫煙所に盛山さんが度々来るようになった。

その時は世間話から美味しいご飯屋さんの話、
盛山さんが仲良くしている後輩さんのお話、リリーさんのお話とか色んな話をした。

「ふふっ、盛山さんってこんな面白い方だったんですね」

『やかましいわ、芸人やでこんなでも』

独りが心地よかったからここに来ていたはずなのに。

盛山さんとお話する時間が、こんな時間がずっと続いて欲しいな。
いつからかそんな風に思うようになっていた。

そんなある日

いつも通りタバコを吸いに喫煙所へ行くと盛山さんではない男性が先に吸っていた。

「お疲れ様です」

その人は一瞬私を見て

「お疲れ様です」

と答えた。

「もしかして...A？」

その男性は私の顔を見て聞いてきた。

えっ？と思い男性の顔をまじまじと見つめてみる。

「もしかして...のむくん？」

その男性は私がまだ芸人として活動していた時の同期の野村くんだった。

「え、めっちゃ久しぶりやなー！元気にしてた？」

「うん！のむくんこそ元気そうでよかったー！」

そこからしばらく私はタバコを吸うのも忘れて二人で話してしまった__。

「やべ、話し込んじまったわ」

じゃあ、っと手を挙げて喫煙所を出るのむくん。
まさかのむくんにまで会えるとは。
なんだかこの喫煙所に来るようになって色んな人と話せている気がする。

なんかちょっと楽しいかも__。

そんなことを考えてたら
喫煙所の外で話し声がする。

「盛山さん何してんすか」

『え、いや別に』

扉を開けて確認するとのむくんと盛山さんがいた。

「あっA」

「のむくんどうしたの？」

「いや喫煙所の扉の前で動かん人おんなーって思ったら盛山さんがおったから」

『いや、ほんまになんでもないねん』

なぜかあたふたしながら弁明をする盛山さん。

「吸わなくていいんですか？」

そう言って開けている扉を思いっきり開けて誘ってみたけど

『あっ今日はええわごめんな』

そう言って足早にタバコも吸わず去って行く盛山さん。

「なあ、A」

「うん？」

「盛山さんとよく会うん？」

「あーここで会うようになってから話すようになったんだ」

「へえーあの人見知りのAがねー」

そうニヤニヤしながら話すのむくん。

何をそんなニヤニヤする必要があるのか分からなかったけど
なぜだかその日一日喫煙所で見かけた盛山さんのことが頭から離れなかった。