第10話 ページ12
太宰「これで大丈夫だよ。部下たちから色々貰っては来たからね。恐らくは平気だ。」
織田「助かった。……にしてもこの子は…。」
人通りが少なくなる時間帯まで任務がかかった。
それは血まみれの妹を運ぶのには楽だった。
太宰「冬華ちゃんがこうなるなんて……。芥川から聞いたけど未来を見る異能らしい。織田作と似た能力だよ。」
織田「それは、どうしたものだろうか……。」
太宰「そうだね、首領に報告でもしておかないと。行ってくるよ。」
織田「ああ。」
しばらく妹の寝顔を見ていた。
その寝顔は、かの物語に出てくるお姫様みたいに綺麗な寝顔をしていた。
冬華「ん……。」
織田「冬華……?大丈夫か?」
冬華「お兄ちゃん……。此処は?」
織田「冬華の部屋だよ。怪我は?痛むか?」
冬華「……少し。」
織田「そうか。」
明日は例の子供達にお菓子を持っていかなければ。
冬華「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃん、隠し事もうしないで……怖い。」
織田「ごめんな……冬華。」
彼女の瞳が『不安』を映し出していた。
その直後細い手が此方へ向けて来た。
冬華「………そんなに恥ずかしいの?」
その眼に気圧されてこれまでのことを話した。
孤児のことを。
織田「……というわけでお金を出しているんだ。」
冬華「なるほどね。例の抗争の孤児を。」
納得したかのように頷いた。
織田「でも、大切なのはお前だけだ。」
冬華「ふぅん……ありがと。」
今のは不味かったか?
少し眼が怖かったぞ……?
太宰「確かに不味いね。」
織田「今のはダメなのか?」
太宰「うん、流石にダメでしょ。」
冬華「太宰さん、おかえりなさい?」
太宰「報告はしておいたよ。冬華ちゃんは大丈夫みたいだね?」
冬華「ええ、勿論。」
太宰「……ならよかった。」
冬華「あの、もう1人になりたいから帰ってくれる?ごめんね。」
織田「ああ。帰るか、太宰。」
私は2人が帰った後に考えていた
もう一度、兄の関心を持ちたい……それより、あの孤児たちはどんな子たちなんだろう?
私は、少し考えて荷物をまとめた。
きっとバレるだろうけれど……兄から逃げるように、マフィアから逃げるように旅に出かけることにした。
うん、気が向いたら帰るとしよう。
冬華「お兄ちゃん……やっぱり私はダメみたい。」
誰もいない部屋に向かって呟いた。
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作者名:黄泉 | 作成日時:2018年7月21日 20時