六月某日 ページ9
六月□日 天気 どしゃ降り
梅雨である。梅雨はもう鬼と同じぐらいに嫌いだ。歩くたびにぴしゃぴしゃと音がするし、服を汚す。木の上に上がると絶対に濡れる。いつも血まみれのくせになに言ってるんだと伊黒様には言われたが、雨には体温を奪われるので嫌いだ。
それに尾行向きじゃない。しかし、西洋では六月に結婚するといいらしいので伊黒様と蜜璃様が結婚するならぜひこの時期にお願いしたい。ジュウンブライドだったか。
まあ。墓参りと被ったら困るのだが……。 入ってるのは燃やした画材だけだとしても親の墓は行くべきだろう。日程調整は俺も関わるとしよう。
そしてカビがうざい。死に値する。
「伊黒様。今年も墓参りに付き添っていただけますか」
「……鬼が出なければな」
「あぁ、はい。鬼狩りを優先してください」
「早急に片付けて向かう」
善人である。父を殺したという負い目もあるんだろうけど……殺したのは鬼舞辻無惨であって伊黒様ではない。あんなに大切にしていた指を攻撃に使うあれは父ではなかった。この方はなかなか頑固なので自分が思っていることを曲げてはくださらないが。
父も、
「……そういえば、先日買い物帰りに見事な紫陽花を見かけまして」
「漢方医からの帰路なら俺も知っている。甘露寺と見に行きたかったのだが……」
どうにもいとまがないらしいと伊黒様は嘆息。お二人は文通をなさっているので(中身を拝見したことは少しだけある。夫婦かと思った)そこで話をしたのだろう。
「来年まで生きる理由ができました。お二人の逢い引きの話を聞くまで死にきれません」
「生きる気力はいつでも持て」
「ここに来たとき言ったでしょう。使い潰してくださいって」
「了承した覚えはない」
そっぽを向かれてしまった。鏑丸が俺を睨んでいるような気がする。鏑丸が怒っているなら伊黒様も怒っているだろう。何せ友とまで言ってくださったのだ、これは俺の発言が軽率だった。
「伊黒様」
「知らん」
「俺が浅慮でした」
86人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時