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そういうところがお館様に心配されるところなのだろうが。強いことは傷つかない理由には決してならない。傷ついて泣けるものは幸せである。泣くこと自体は不幸だろうが。
俺はお館様に包み隠さず色々話した。蜜璃様と仲がよいことも。
お館様は終始微笑みながら俺の稚拙な語りを聞いてくださった。実質これは推しプレゼンである。伊黒様の良いところを語りすぎてやや話がずれるなどしたが無事話し終えることができた。
お館様はそのいい声で、穏やかに話す。
「加賀見は本当に小芭内を好いているんだね」
「はい。伊黒様には返しきれないほど多大なる恩があります。父を差し置いて俺がこの世に存在し、伊黒様に助けられている以上、この命の余すとこまですべて鬼狩りに捧げる所存です」
「これからも、小芭内をよろしく頼むよ」
「もちろんです。命尽きるまでお側にいます」
お館様は柔く微笑んだ。安心する笑みだ。……父と全く異なるのに、己の父親かのように思えてくるほど。ま、年下だけどな!!! びっくりだよな!! 人格が完成され過ぎている。お体も辛いだろうに墓参りを欠かさないし。
心の底から、尊敬している。
「話してくれてありがとう、加賀見。小芭内にもよろしく」
「はい。こちらこそ、ありがとうございました」
隠に連れられ、屋敷を去った。
*
「加賀見」
「伊黒様。お館様から小芭内にもよろしくと伝言を託されております」
「お館様はどうだった」
「お元気と表せられるかは微妙ですが、一人でお立ちになれる程度には具合はよろしいようです。しかし以前より病状は確実に進行していらっしゃるかと」
「やはりな……お館様……」
絶賛弱ってた。当たり前である、伊黒様にとってのお館様は俺にとっての伊黒様であろう。俺だって伊黒様に少しでもなにかあればものすごく取り乱すのだから。情が深い伊黒様はますますそうなる。
畳に座る伊黒様の背中にもたれかかった。
「重い」
文句は言われたが拒絶されていないので構わないのだろう。
「加賀見。……気遣い感謝する」
「いいえ、俺は何も。伊黒様のお側にいたいだけです。そういえば今日、蜜璃様に会ったのですが聞きますか?」
「……聞く」
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紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時