十一月某日 ページ29
十一月▲日 天気 晴れ
町中で蜜璃様を見かけた。
「にゃあ、にゃー! 可愛いわね貴方! うふふ、にゃあん、にゃー」
「……」
「ふふ、肉球も柔らかくて可愛いわ〜よしよし、にゃあー」
「あの、蜜璃様」
「ひゃあ!? か、かかか加賀見くん!? いつからいたの!?」
「蜜璃様が猫を見かけて駆け寄るところから」
「すっごく前!! 声かけてくれればよかったのに! 恥ずかしいわ……!」
顔全体が赤い蜜璃様。照れ方が半端ないな。別に猫を目の前にしたら猫好きは総じてああなるから恥ずかしがる必要もないのだが。俺もああなる。猫には勝てない。
「い、以前も伊黒さん相手にこういうことがあって……もっと気配に敏感にならないとダメかしら、二人とも気配を隠すの上手いわね」
「確かにそれは得意分野ですね。戦闘力はありませんが、気配を隠すことなら大得意です」
「伊黒さんが加賀見くんのこと猫だって称してたわよ」
「他の方にもそう言ってるんですか伊黒様……」
地味に聞き逃せない『伊黒様相手にあったこういうこと』。蜜璃様は伊黒様相手だともっと照れたんじゃないだろうか。
猫が俺の足元にすりすりしてきた。ん゛んっ、かわいい。ときめく。人懐っこい子だなと思いつつ頭を優しく撫でた。
「毛がふわふわですね。飼い猫でしょうか……変わった首輪もつけているし」
「ちょっと目みたいよね、この札。変わってるわ」
「賢そうな猫です」
……と、猫を愛でている場合じゃないんだった。
「お館様に呼び出されていまして。今から隠の方と合流しなければならないんです」
「まあ、お館様が加賀見くんを? どうしたのかしら」
「いや本当にどうしたんでしょうね」
隊律違反の覚えもないが優秀な戦績を残した気もしない。本当に何の用なのだろう、想像つかなすぎて怖い。
「蜜璃様は任務ですか?」
「えぇ、この付近で鬼が出るらしいの。毎晩子供がさらわれているらしくて……情報収集は終わったから、今夜は一人も死なせないわ」
かっこよ……。
「蜜璃様がそう仰られるのならば大丈夫でしょう。頑張ってください」
「えぇ、ありがとう」
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紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時