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「加賀見くんは何を贈るの?」
「飴細工にしようかと……さすがに目の前で作るとかはできないので買いますが」
「とっても良いと思うわ! お店の見当はついてるの?」
「はい。前から目をつけていたところがありまして」


飴細工とは芸術である。俺には何がどうなってああなるのかさっぱりわからない。造形には不得手だ。

まるで本物もしくは宝石で作られたかのような美しい飴細工の数々が飾られている店に入る。店主に一礼し飴細工を眺める。さて、どうするか。


「蜜璃様、伊黒様は何を喜ぶと思いますか?」
「加賀見くんが心を込めたならどれでも喜ぶと思うわ。それに、ここのお店には素敵なものしかないし。こんなお店を見つけられるなんてすごいわね」


誉めに誉めを重ねる辺り、蜜璃様の性格の良さが滲み出る。照れてしまうな。


「……あ、これ綺麗ですね」


彼岸花を模した飴細工。花弁を繊細に表現している。


「これも素敵じゃない?」


蜜璃様が示したものは蝶の飴細工だった。こちらも細かく作り込まれていて、とても美しい。あまり大きいと隠すのが大変なので、そこまで大きくないものを選びたい。


「うーん……悩ましいですね」
「本当ね…どれも素敵だから目移りしちゃう」
「要望も聞いてもらえるようですが……あっ」


そうだ。踵を返して店主の元へ向かう。どちらかで迷うのなら両方を組み合わせればいい。


「すみません、注文をしたいんですが。彼岸花にとまる蝶を、あまり大きくしないで作っていただけますか?」
「わかりました」


壮年の、精悍な顔立ちをした店主が頷く。武骨な手からは想像できないほど細やかに飴を作り込み、完成させていく。なんとなく父親を思い出した。

買い物を終え、帰路につく。蜜璃様のことを途中までお送りした。


「当日に渡せるかはわからないけど、もしできるなら一緒に渡しましょ!」
「そうですね。そうしましょう。……それでは蜜璃様、失礼します。ご武運をお祈りしております」
「私もよ。お互い頑張りましょうね!」


朗らかに手を振る蜜璃様に振り返し、飴を割らないように気を付けて帰った。

九月末→←〃



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紅葉蓮(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます!!あと少しで一旦完結の予定ですので、頑張ります! (2020年6月14日 19時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)
二嘉 - いいなコレ。気にいったぜ☆ (2020年6月3日 18時) (レス) id: 5a89568ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです!続き読みたいです! (2020年4月27日 21時) (レス) id: 7f11035070 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - うむ。面白い!よもやよもや! (2020年3月4日 8時) (レス) id: 4b674ab2ae (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蓮(プロフ) - 紫呉さん» いやほんとそれですよね…! (2020年2月25日 10時) (レス) id: e2cb5510b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅葉蓮 | 作成日時:2019年11月25日 11時

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