46、からかい上手 ページ47
Aの頭はパニック状況。
僕を彼氏にしませんかって…突然何言い出すのこの子は⁉
貴女「…えっ…ちょっ…あの…えぇ⁉」
一星はあたふたしているAをしばらく見つめ、吹き出した。
一星「…あははは！冗談ですよ！本気にしちゃいました？」
貴女「…あ⁉」
冗談だと⁉
一星「…すみません。先輩と冗談でも言い合ったら、もっと仲良くなれるかなって思ったんです」
目にたまった涙を指でぬぐう一星に、Aは呆然としていたがすぐに我に返った。
貴女「…も…もう！悪い冗談だなぁ！やめてよね！」
一瞬でも本気にしてしまったことは恥ずかしいが、冗談だとわかって少し心が落ち着いた。
一星「ごめんなさい。…怒っちゃいました…？」
またしても上目遣いを使ってくる。
貴女「…いや…怒ったわけじゃないけど、もうこんな冗談やめてよね」
可愛い後輩の前じゃ私もつくづく甘いな…。でも後輩のくせに悪態ついてくる灰崎くんよりは全然許せる。
一星「…でも、先輩想像してたよりずっと可愛い反応してくるから…実はほんの少し、彼氏も良いかなってい思っちゃいましたよ」
貴女「⁉」
言われ慣れない「可愛い」という言葉に少し動揺してしまったが、すぐに冷静さを取り戻した。
貴女「はいはい。もうその手には乗らないから」
意地悪な笑みがその証拠だ。
一星「…今のは、本当ですよ」
貴女「…」
妙にマジトーンで呟くものだからAもついピクリと反応してしまった。
…一星くん、君まで私をからかう側になってしまったのかい？
もしそうだとしたら、一星くんはからかい上手そうだな。
一星は部屋に置いてある時計を見て、椅子から立ち上がった。
一星「あ、もうこんな時間ですね。もう戻ります。少し体を動かしておきたいので」
貴女「え、今から？」
一星「はい。試合に出られるように、人一倍努力しないとですから！」
貴女「！…そっか」
今の一星はジャパンに貢献するために頑張る努力家そのもので、Aもからかわれたことなど忘れ、関心していた。
貴女「頑張ってね！…あ、でもあまり遅くならないようにね。」
一星「ありがとうございます。それでは、失礼します」
扉を開けて出ようとする一星に向け手を振っていると、一星はAの方に振り向いた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
