42、仔犬のような後輩 ページ43
一星は部屋に入るなり、辺りを見回した。
一星「へぇ〜…意外と綺麗ですね！」
貴女「え…散らかってると思ってた？」
一星「ああっすみません！今のはその…」
Aは言葉のトゲを感じつつも、慌てて訂正する一星を見て微笑ましくなった。
貴女「ううんいいの。まあ合宿始まったばかりだし、とりあえずは綺麗ってところ」
Aは部屋に置いてあった椅子を引っ張りだした。
貴女「ここ座りなよ」
一星「ありがとうございます。すみませんこんな時間に押しかけて」
一星は椅子に腰掛けながら申し訳なさそうな顔をした。
貴女「こんな時間って言っても、まだ8時だよ？大丈夫大丈夫」
Aもベッドに腰を下ろして笑った。
同時に、そんなことにまで気を遣えるなんて本当できた子だな、と感心した。
一星「…迷惑じゃありませんでした？」
そう上目遣いで聞いてくる仔犬のような後輩。
貴女「全然！私もちょうど誰かと話したいって思ってたところだったし」
不安や恐怖を紛らわすには誰かと話をするのが一番だと思っていた。
一星「良かった！じゃあこれからも遊びに来て良いですか？」
貴女「もちろん！いつでも良いよ」
誰かと話す時間が増えれば増えるほど、楽しい時間も多くなるというものだ。
一星「嬉しいです！…僕、ジャパンに入れて本当に良かったです」
貴女「…え？」
急にどうしたんだろう。
一星「A先輩も、皆さんも、本当に優しくしてくれて…最初はチームに溶け込めるか少し不安だったんですけど、今では安心してます。」
貴女「一星くん…」
Aは涙が出そうなくらい感動していた。
一星「だからもっと皆さんと仲良くなりたくて、こうして部屋を回ったりしてるんです。
さっきも円堂さんの所にお邪魔させていただいて…」
貴女「そうだったんだ。いやー偉いね一星くんは」
一星「そうですか？」
貴女「うん！すごく真面目だし、チームの為に頑張ってくれてるし」
一星「……僕、まだ試合に出られてなくて……それでも、ちゃんとイナズマジャパンの一員として、頑張りたいんです」
貴女「一星くんはもう立派なジャパンのメンバーだね」
一星はそんなAの言葉に笑顔を見せた。
そんな一星の良い子っぷりに、Aは負の感情を忘れて完全に癒されていた。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
