39、ゴッデビ ページ40
氷浦「A、どうかしたのか？さっきから元気が無いように見えるけど…」
貴女「…え⁉そ、そんなことないよ。ごめんごめん」
Aは氷浦の鋭い指摘を笑って誤魔化した。
だが何でもないわけがなかった。
ペクのことを思い出しては怖くなってしまうが、気がかりなのはそれだけじゃない。
Aにはペクが、何かを背負っているようにも見えた。ペクが怯えている気がしたからだ。ある恐ろしい何かに…。
そう考えるとAはペクのことを憎みたくても憎み切れなかった。
そんなことがあったということは決して表に出さないように笑顔を作った。
貴女「……「ゴッド&デビル」だから…合わせて「ゴッデビ」だね」
と、Aが自分で普段から言いそうな煽りを口にした。
灰崎・吉良「合わせんな‼」
そんなからかいぶりを見せるAに二人も息ぴったりで怒鳴りつけた。
貴女「ご、ごめんごめん」
Aは驚きで体をすくませた。
…けど不思議なことに、嫌な感じはしない。
怒鳴られるのは気分が良いものではないはずなのに、なぜか安心感があった。
ペクの狂気さを感じさせる囁き声を聞いた後だからだろうか。
吉良「大体そのストレートから気にくわねえんだよ！」
灰崎「うるせぇ！ちゅるちゅる頭！」
吉良「ああ⁉んだと⁉」
喧嘩が始まってしまった。
貴女「まあまあ。そのへんで」
Aが優しく二人をなだめると、二人はギロリとAを睨んだ。
灰崎・吉良「うっせぇお前は黙ってろッ‼」
こんな時まで気の合う二人にAもタジタジだった。
吉良「つーかお前、自分の二つ名に「天使」とか恥ずかしくねえの？「奇跡の天使」さんよぉ」
貴女「な⁉」
何故今その話を持ってくる⁉
灰崎「そればっかりは同感だな」
ヒロトと灰崎が煽るように言ってきた。
どうやら二人の標的はAに向いてしまったようだ。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
