32、仲間割れ ページ33
そんな時、2-2と追いついた韓国だが、何やら選手同士でもめていた。
ペクと韓国代表キャプテンのソクだ。
韓国のキャプテンは誠実そうな人だから、きっと今までのラフプレイに対してペクに注意してるんだろう。
するとソクが、何故かペクのシャツをぐいっと引っ張り、ペクの肩がむき出しになった。
貴女「⁉⁉⁉」
どこを引っ張ってるんだ、試合中に何してんのとAは驚いていた。
その後は、何とか和解し合ったように見えた二人。
だが、その後の展開は信じられないものだった。
韓国が仲間割れを始めたのだ。
ペクをはじめとする韓国の3人が、ソクを徹底的に痛めつけていた。
Aも他のみんなもその光景を呆然と見つめていた。
韓国の9番のヒザ蹴りが、ソクのみぞおちに入ってしまった。
ソクは苦しそうにその場に倒れてしまい、担架で運ばれていった。
ペクと、9番11番の選手はそれを冷笑して見ていた。
Aはその一部始終を、口に手を当てたまま驚愕していた。
貴女「…何…今の…」
指の間から漏れる、弱々しい声。
Aの頭の中には過去の記憶がフラッシュバックしていた。
自分が前の中学で見てきた、嫌な光景を思い出してしまった。
今の、ペク達のやり方…覚えがある。
仲間を潰すなんて…まるであの時と一緒だ。
…いや、もしかしたらそれ以上に、今の光景は酷かった。
同点のまま、試合は終盤に突入した。
鬼道「必殺タクティクス、エンジェルローブ」
イレブンは相手を包み込む陣形に広がり、ボールを奪い返す。
杏奈「…って、A。顔色悪いわよ？大丈夫？」
嫌な光景を目にし、嫌な記憶を思い出してしまい冷や汗が出ていたAに、杏奈が声をかける。
貴女「…いや、大丈夫」
ジャパンに再び勢いがついてきたので、Aは少しずつ安心していた。
前線に放り込まれたボールを灰崎がいち早く反応し、ドリブルで前進する。
吉良「ボールをよこせ！俺が決めてやる！」
灰崎「なら取ってみろよ！」
吉良「てめぇ、俺様を舐めんなよ！」
二人は火花を散らしながら並走。
貴女「こ…こんな時までいがみ合いを…」
残り時間は1分を切っていた。このままだと時間がなくなる。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
