3、お見舞い ページ4
貴女「おぉ西蔭くん！偶然だね」
灰崎「お前も野坂の見舞いか？」
西蔭「ああ」
そんな西蔭がカートに入れていたのは、大きなスイカだった。
西蔭「野坂さんはスイカに目がなくてな」
「「「ええーーーーっ⁉」」」
野坂がスイカにかぶりつく姿を想像して、3人は信じられないというように驚きの声を上げた。
明日人「そ…そうなんだ…何か拍子抜け…？」
灰崎「あ…ああ…」
貴女「そ…そうだ西蔭くん。野坂くんは焼き芋って好き？」
灰崎「まだ持ってく気だったのかよ」
西蔭「…あまり口にしているところは見たことがないな。」
貴女「そう…今の時期美味しいのに」
その後、Aと明日人と灰崎は野坂の病院へ訪れた。
野坂「わざわざ来てくれてありがとう。Aさんまで…」
貴女「ごめんね私までお邪魔しちゃって。」
野坂「うるさくなりそうだね。」
貴女「さ、流石に病院では静かにしてるよ。」
相変わらずの毒舌ぶりだ。この皇帝様ときたら。
Aもいつもならもっと反論するところだが場所を考え、抑えた。
それに、今のAには野坂に怒っている余裕なんてなかった。
野坂くんが今病院にいるのは、私が原因でもあるから…。
明日人「もうすぐアメリカに発つって聞いて」
野坂「そうなんだよ。今は向こうでやる手術の検査中さ」
貴女「…そっか…」
アレスプログラムの副作用からなった脳腫瘍。
Aにとって未だ聞き慣れない響きではあるが、一筋縄ではいかないものであることはわかっていた。だからこそAは、いたたまれない気持ちになる。
貴女「…あの…野坂くん…その…」
声をかけたものの、何と言っていいのか分からなかった。
野坂「…何？もしかしてまだ申し訳ないとか思ってるの？」
野坂はそんなAの様子を見て、やれやれというように眉を少し下げた。
野坂「Aさんのせいじゃないって言ってるのに。」
灰崎「ああ。そういうところは妙にしつこいよなお前って。」
貴女「…でも…」.
アレスの天秤の生みの親である御堂院は、Aの母親の兄。つまり御堂院はAの伯父にあたる。
御堂院は自分の利益の為と、実の娘のように可愛がっていたAの為に、アレスプログラムを始動した。
アレスプログラムで儲けることで、Aを裕福な自分の元で立派に育てようと目論んでいたのだ。
結果、たくさんの被害者が出てしまった。
そのため、Aは自分にも原因があると感じていたのだ。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
