・ ページ44
Side Yugo
「俺も母さんにいつも殴られたり、怒られたり、してた。」
気付いたらそんなことを言っていた。
「こーちも？」
呼び捨てなんだ、ってところはあえて突っ込まない。
「うん。毎日殴られて痛くて苦しくて、このお話に出てくるみたいなヒーローなんていない、って思った時もあった。」
でも、そんな俺を助けてくれたのは大我だ。
いつから虐待されていたかはもう覚えていないけど、中学に上がってからもそれは続いていた。
そんな時に出会ったのが大我だ。
俺は虐待されている中、2週間に1回だけではあったが学校に行っていた。両親が「怪しまれないように」と言ってきて、全身が痛い中、学校に通っていた。
誰にも「虐待されている」
なんて話せないから、必死に隠して。
でも、大我の優しい声に、心が揺らいでしまった。
「高地、なんかおかしいよ。どうしたの？」
大我が異変に気付いてくれて、我慢できなくなった俺は虐待されていたことを話した。そしてすぐに大我の母ちゃんに話がいって。
だから、大我は俺の、あのHeroの主人公のような人。大我がいなければ俺は今頃、ここにいないだろうから。
「でも、そうだな。例えば樹くんなら、大我かな。」
「たいが？」
「あー、大我じゃなくて、京本先生か。樹くんが咳が出て、苦しいってなった時に助けてくれるのは京本先生でしょ？」
「…うん。」
「だから京本先生は樹くんの体が辛い時に助けてくれるヒーロー。俺もね、京本先生に助けてもらったんだ。」
「きょうもとせんせい、すごいね。」
小さく笑いながらそう言う、樹くん。
だんだんと会話が活発になってきて嬉しくなる。
俺はそんな姿を見て、
大我に言われて悩んでいたある事を決意した。
「そしたら俺は、
樹くんが寂しい時に助けるヒーローになりたいな。」
「さびしいとき？」
「そう、樹くんが1人じゃ辛いなって、寂しいなって時に、助ける。」
「…ほんと？」
「うん、ほんと。」
「…樹くん、じゃなくて、樹。」
「あ、うん。わかった、樹。」
そうすると、ぎゅっと服を掴まれた。
「…じゅりさ、またあのおうちにもどされちゃう？
またいたいいたいされる？」
不安な声と顔。
でも、俺がそんなこと絶対させない。
させたくない。
「樹、一緒に暮らそう。」
おれが君の”ヒーロー”になる。
end
俺原記念日→ヒーローの日:1月16日
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Moku | 作成日時：2020年5月23日 8時
