俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ37)

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Side Taiga

朝だったこともあったからか、ぐったりしていたジェシーだけど、寝ていたし、昼に近づくに連れてある程度、顔色は良くなった。

最近は結構調子が良くて、学校の行事にも参加できて、それが終わったことで気が抜けてたんだろう。

そして、明日はジェシーの誕生日だ。

去年の誕生日も両親2人ともいなかったが
今年もまた3人で祝うことになる。

「なんで俺たちのこと引き取ったんだろうなぁ。」

ジェシーの部屋で、慎太郎が昼寝したいと言い出したので、2人が眠っている部屋で、1人。誰に言うでもなく、俺は言葉を発した。

「…俺、この家来て良かったって思ってる。」

「あ、起きてたの？大丈夫？」

「うん。」

「良かったって、ほんとに？」

正直、両親2人、
俺たちに興味がなさすぎる。
別に、冷たいとかではないんだけれど。

ジェシーの体調だって気遣ってくれるし、俺らに物だって不自由なく与えてくれる。

でもどこか1つの壁があるような、そんな関係。

俺は心のどこかで、会社の跡継ぎのためだけに俺たちを養子で引き取ってると思っているんだ。

「…だってさ、ずっと施設のままは無理でしょ？」

　
どの施設も殆どが
18歳になれば、施設を出ることになる。

そう考えれば、たしかに何処かに
引き取られた方が未来は安泰なのかもしれない。

でも、昔、養子として
先に引き取られた同じ施設の子が言っていた。

『ほんと優しくてさ！施設とは大違いだよ。誕生日もこんなでっかいケーキ用意されてて、3人で楽しく過ごしたの！』

そんな理想の塊のような話を聞いていたからか。

少しだけ、ほんの少しだけ…

引き取ってもらってありがたかったけど、
どこか2人の俺らへの接し方に違和感を覚えていた。

「それに俺は、ここに引き取られて、大我と慎太郎と会えたし。」
「施設ではさ、会話もないし、笑い声も聞こえないし。なんかずっと不安だった。でもここじゃ、2人と一緒にいれて、その上、みんなで笑ってられる。」

「だから、俺はここに引き取られて良かったよ。」

「…そっか。じゃあ、明日は3人でお祝いできるように、今日ちゃんと休もうね？」

「Ahaha…うん、そうする。」

血が繋がってなくても俺ら3人…いや5人は家族だ、と思う。そう思いたい。

でも、やっぱり、それなら…

明日はジェシーにとって人生で

1番笑顔な、幸せな、
そんな日になるようにしたいんだ。