俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ26)

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※樹くんの態度が悪くなっているので苦手な方はお控えを

Side Juri

「もう離せよっ！」

事故からどのくらい経った時だろう。
俺は初めて、リハビリステーションという場所に来ていた。

あの時の大声は、リハビリステーションのある3階に響き渡っていたと思う。

俺はその時、周りも気にせず騒いでいたけれど。

少し前までは、簡単に動いていた自分の体が、
下半身が、どんなに動かそうとしても動かない。

その現実を受け入れられないでいた。

だから、周りに迷惑をかけていることも考えず、
暴れていたということ。

「もうやめる！さわんな！」

そうしてずっと騒いでいた俺を、俺のことを支えているさっき自己紹介されたジェシーは軽く受け流していた。

「Ahaha…樹くん、とりあえず静かにしようか。」

笑いながら、そんなことを言われて
俺はとどめの一言をその場に放つ。

「どうせ、動かねぇんだろ！やる意味ねぇじゃん！」

すると、どこかで見た事のあるような
手摺りで、歩く練習をしている人に言われる。

「…お前さ、さっきからうるさいんだけど。やる気ないんだったらどっかいけよ。ここはお前みたいな奴が来る場所じゃない。ジェシーだって暇じゃねぇんだよ。」

「は？」

「北斗、いいよ。樹くん、今日はやめとこうか。」

結局、車椅子に
乗るにも誰かの助けがないとできない。

悔しかった。

ジェシーは、俺のことを軽々持ち上げ、
「よし、Ok！」なんて言って、俺の車椅子を押し出した。

「ごめんねぇ～。北斗、口悪くてAHAHA…あ、北斗ってのはさっきの子ね。」

俺はイライラしていたから、ジェシーの話に相槌もしなかった。今思えば、本当に最低なやつだと思うけど。

病室に着いて、
またさっきと同じように車椅子から移動させられる。

「よし、じゃあ先生に声掛けとくね。また明日。」

Byebye ～なんて、発音よく言われた。

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「樹、今日リハビリ途中でやめたんだって？」

「…うん。」

「焦らなくていいと思うけどさ…」

兄ちゃんが何か話してるけど、
途中からほぼ話を聞いていなかった。

昔から、
なんでもできる兄ちゃんが羨ましかった。

勉強だって、趣味だって。それに忙しい中、
家の家事だって、そつなくこなしていて。

「じゃあ、明日俺仕事だから。また明後日な。リハビリ、頑張れよ。」

俺は返事もせず、兄ちゃんは帰って行った。