俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ25)

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Side Juri

はっきりしない意識の中、目が覚めた。
誰かに手を握られている感触がある。

「…え、じゅり、樹！」
「あの、樹、起きました！先生お願いします。」
「樹、わかる？」

そんなふうに兄ちゃんに問いかけられるけど、
喉の奥まで管が入っているようで、声が出なかった。

その変わりに必死に瞬きすると、
「よかった。」と、いつも通りの兄ちゃんの声色が戻ってくる。

「樹くん、聞こえるかな？今ね、この口に入ってる管抜くから一瞬苦しいよ。」

「げほっげほっﾊｧｯ」

「うん、よし。もう大丈夫。よく頑張りました。」

俺を何歳と思っているのか知らないが、頭を撫でてきた。

「じゃあ、いくつか質問するね…」

先生は俺にいくつか質問してきて、
何個目かの質問で俺にこう聞いてくる。

「どうして、こうなったか、覚えてる？」

「…バイクで事故ったから。」

兄ちゃんが病室の端で、
はぁ、とため息をつく音が耳に入ってきた。

流石にその音を聴くと、
俺も少しは申し訳ない、と思う。

高校生になって、すぐにバイクの免許を取った。

親は早くに亡くなり、兄ちゃんと2人の生活。
嫌だったわけじゃない。むしろ感謝していたが、俺はそれを言葉にも態度にも表せず、しっかりと反抗期を迎えていた。

高校にはギリギリ行っている、と言えるくらい。

毎日毎日、仲間と遊ぶ日々で。

その結果、バイクで事故ったんだ。
それで脊髄を損傷したらしい。

兄ちゃんが親の代わりを、と必死に俺を育てくれてるっていうのに、それに伴って行動をしていなかった、罰があったんだろうと思うが。

「脊髄を損傷した。」

そう言われた時は、なんかテレビで聞いたことある、くらいで他人事のように俺は聞き流していたけど、多分俺は、事の重大さを全くわかっていない。いや、分かろうとしていなかった。