未完成のパズル【太宰治】 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:13,799 hit

puzzle＊13 ページ14

｢………間もなく閉園時間となります───｣

閉園十分前のアナウンスが聞こえ、私と治は目を合わせて“もう帰ろうか”という合図をした。

｢こんなにはしゃいだの、何年ぶりだろう……今日は凄く楽しかったよ｣

『私も。久し振りに遊園地に行ったから、凄く楽しかった！』

思っていることが二人一緒で、私達は顔を合わせて、“ははっ”と笑い合った。

本当に、今日は楽しかった。

治とメリーゴーランドや、観覧車、ジェットコースターに乗って。

そして─────

｢私とAは、帰る方向が確か逆だよね？｣

『そうだよ。』

｢ちょっと待っててね。｣

突然、遊園地の外に出た所にある石垣に荷物を置いて、何かを探し出した治。

後ろから顔を覗かせる仕草をすると、治は私に“ちょっと目を瞑ってて！！”と言った。

手を目に当て、視界を暗くする。

一体、これから何が起きるのだろうという不安と期待でいっぱいの中────

｢目を開けて良いよ｣

指示された通り目を開けると、私の目の前にはネックレスがぶら下がっていた。

『治、これは……どうしたの？』

｢昨日、雑貨店で買ったんだよ。Aに似合うかなと思って｣

キラキラと光る銀色のネックレスが、私の瞳に映る。

『ありがとう……！』

治にハグをしようとすると、腕を引っ張られてそのまま接吻をしてしまった。

治との接吻は凄く甘かった。