Sweet memory Ⅳ【中原中也】 (ページ13)

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memory#73 ページ13

｢おはよう、朝の連絡をする。明日から、夏服の着用が可能だ、それと─────｣

朝のホームルームで、織田先生に“明日から夏服での登校可能”と聞いた瞬間、クラスが一気に“やったー！！”と、叫び声に包まれた。

今はもう、5月中旬。そろそろ夏服を用意しないと、暑くて暑くて仕方がない………

｢A｣

後ろから私の肩をトントンしてきたのは、中也君。

『どうしたの？』

連絡事項を話している織田先生に気付かれないように、私は小声で中也君に聞き返した。

｢なぁ、放課後……暇？｣

『暇だよ。』

｢帰り、見せたい物があるから俺の家に来ないか？｣

『家？』

ニカッと笑う中也君。

｢そう、家だ。｣

混乱する私に、中也君は”駄目か？“と聞いてきた。

駄目じゃないんだけど……

私、異性の家に上がったことが今までなくて、行ったとしても如何すれば良いのかが、分からない。

｢如何する？矢っ張り、やめといた方が良いか……？｣

『………行く！！』

………しまった。

織田先生が喋っている時、思いっきし大きな声を出してしまった。

周りの人達はクスクスと笑っていて、織田先生は苦笑いを浮かべながら“佐倉、今日も元気だな”と言うフォローのようなフォローじゃないような言葉を述べた。