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memory#8 ページ9
｢恥ずかしい……けど、こンな下手っぴな俺の歌を聴いてくれて有り難うな。｣
彼がこの言葉を言った後、丁度春坂先生が職員室前に戻ってきてくれた。
春坂先生は、私と彼が仲良く話しているのを見て、“貴方達、いつの間に仲良くなったの”と、笑いながら言った。
それぞれ春坂先生に用があったから、それを済ませてから｢じゃあ｣と、お互い手を振って別れた。
別れ際、彼が｢そう言えば名前聞いてなかったな、俺は“中原中也”だ。手前は？｣と、私に名前を聞いてきた。
私は、嬉しくなって思わず後ろを振り向いた。
彼は私に背中を向けていたけど、それでも良い。
名前だけでも覚えて貰ったら………
『私の名前は…………佐倉Aです！！中也君、友達になりませんか！！』
私の欲望が、名前と共に出てしまった。
でも、友達になりたいのは本当。
｢おう、良いぞ。よろしくな、佐倉｣
先刻まで私に背中を向けていた中也君だが、今度は私の方に振り向いて、ついには名前を呼んでくれた。
『はい……！！』
中也君の“よろしくな”という声を、私はあれからずっと耳に残っている。
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作者名：もえ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mokomokohi4/
作成日時：2019年1月1日 21時
