memory#14 ページ15
「彼奴……上手いこと、引っ掛かりやがったな。」
掃除ロッカーから顔を出し、私以外誰もいないことを確認してから出てきた中也君。
ふとした瞬間に、彼が身に付けているラベンダーの匂いがふわっと香る。
矢っ張り、近くで見ても彼の横顔は迚も綺麗だ。
「さあて、此からどーすっかな……今日は、手前に会いに行く為に、部活を途中で抜け出してきたしな………」
勝手な私の推測だが……もしかしてその“あること”とは、先程中也君が言っていた“私に会いに美術室まで来たから”だろうか?
もし本当にそうならば嬉しいし、例えそうじゃなくたとしても私は………
『あの……』
「ん、何だ?」
『ここに、少しの時間だけでも良いからいませんか?』
思い切ったことを言った私。
“いや、彼奴に悪いから部室に帰るわ”って言われるかな……
「じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらうわ」
中也君は続けて、“その代わり、手前は俺と喋る時は敬語じゃなくてタメで話せよ?”と、悪戯っぽく笑いながら言った。
彼曰く、“お互い友達のはずなのに、敬語って……“と思ったらしい。
突然、彼と敬語なしで話すのは、私にとっては少し気が引いたから“それは無理です“と言ったら、今度は“もし、敬語なしで喋れたら俺の生歌をプレゼントするぞ“と、私を誘惑させる。
『それはずるい!!』
声を張り上げて言ったら、中也君がニコッと笑いながら“たいへんよく言えました“と、私の頭を撫でながら言った。
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作者名:もえ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mokomokohi4/
作成日時:2019年1月1日 21時