Sweet memory【中原中也】 (ページ2)

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memory#1 ページ2

｢佐倉さん、折角綺麗な絵を描くのに勿体ないわねぇ………なんで、選択科目を音楽にしたの？｣

顧問の先生と私、二人だけの美術室。

油絵の具の匂いが部屋全体に充満していて、私は先生の問いよりそっちの方(油絵の具の匂い)が気になった。

｢ねぇ、佐倉さん聞いてる？｣

『御免なさい、春坂先生………で、なんでしたっけ？』

春坂先生は、少し溜息を吐いた後｢だからね、佐倉さん折角綺麗な絵を描くのに何で、選択科目を美術じゃなくて音楽にしたのかなって｣と言った。

なんだ、そういうことか。

てっきり、家のこと聞かれるかと思った。

『確かに、選択科目を最初は美術にしようと思っていたんですけど………ちょっと、気が変わりまして。』

｢気が変わった……？ふふ、佐倉さんらしいわね。｣

今笑った、春坂先生は私が所属している美術部の顧問の先生。

年齢は確か35で、綺麗なんだけど気さくで凄く話しやすい。

まるで、お姉ちゃんのような先生。

今日使った筆を洗い、片付けていると外から軽音楽部の音がした。

｢おぉ、今日もはしゃいでるねぇ………軽音楽部。｣

春坂先生は、窓から顔を覗かせ大きな声で｢アンタ達、あんまり遊びすぎると軽音楽部の顧問の矢口先生に報告するぞー！｣と、冗談交じりの声で言った。