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何となくわかった。つまりこの女子高生は、猫を助けようと木によじ登っているらしい。
よくよく見れば、三毛猫がだいぶ高い所で震えていた。おいおいお前、猫なんだから降りろよ。とはこの少女の手前言えない。
｢おいあんた、危ねえよ｣
｢……？｣
声をかけるまで俺の存在に気づいていなかったらしい。きょと、と大きな猫目が俺を映す。
｢俺が代わってやるからお前は降りろ｣
｢……大丈夫、もうすぐ届く｣
｢危ねぇって、お前女の子なんだから怪我したらダメだろ｣
｢……だって、助けるって言った｣
｢は？｣
｢その子に、絶対助けるって言った。大丈夫って。だから私が助けないと｣
そう言って女子高生は猫のいる枝に手をかけた。
危ねぇ、本当に危ねぇ。
ハラハラしながら俺と少女は女子高生を見守る。あと少しで猫に手が触れる、その時だった。
｢え、｣
｢あ、｣
｢タマ！｣
あろうことか、猫は勢いをつけて女子高生に飛びつき、そのままタンタンターンと軽やかに枝に飛びつきながら地面に着地したのだ。
ぐらり、その衝撃で女子高生のバランスが崩れる。
｢！！｣
やばい、その場にいた3人がそう感じた。
少女は咄嗟に目を閉じ、女子高生は慌てた顔で体勢を立て直そうとしているが間に合わない。
さらさら、彼女のショートヘアーが乱れていく様子がスローモーションで見えた。
｢っ、くそ！！｣
｢……助かった｣
｢お前……ほんと……まじで……焦らすんじゃねえよ……｣
はぁー、と安堵のため息を漏らし地べたに座り込む膝の中には女子高生がいた。
そいつはぺたぺたと自分の体を触っている。どうやら大した怪我はしていないようだ。ほっと胸を撫で下ろす。と、｢お姉ちゃん！！｣猫を抱えた少女がこちらに駆け寄ってきた。
｢ごめんなさい、わたし、｣
｢ううん、こちらこそごめんね。猫、大丈夫？｣
｢……うん｣
｢これからは気をつけてね｣
｢うん、ありがとう、お姉ちゃんお兄ちゃん｣
いや俺はなんにもしてねえけどな、と思ったが礼は素直に頂いておこう。少女の綺麗な黒髪をくしゃくしゃに撫でておいた。
そして深々とお辞儀をして、猫と少女は去っていった。……あれ、
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作者名：彗 | 作成日時：2019年4月26日 13時
