練度87 ページ40
エレベーターに乗った時のような浮遊感の後、ぐっと地に足がつく感覚に、私たちは知らず知らず息を吐いた。
思っていた以上に気を張っていたらしい。
遠くに聞こえる刀剣男士たちの声が耳に心地よく馴染んだ。
「お疲れさん」
玄関を開けると薬研が腰掛けていた。
「成果は？」
「バッチリさ」
「そりゃ上々。こっちは鯰尾が目覚めたぜ」
「！！」
「骨喰がついてる。少し混乱はあったが、今はまともに話せそうだった」
それだけ言い置くと薬研は後ろ手を振りながら去っていった。
その背中を寂しげに眺める前田の手に、私は一つ紙袋を落とす。
「え、わっ鶴丸さまこれは？」
「今日一日頑張った前田にご褒美だ。粟田口のみんなで食べな」
「何か買ってると思えばそれか」
「あと長曽祢にはこれな」
「俺にもあるのか！？」
協力してもらった礼とご褒美だってば。君、そんなナリで和泉守の次に年少でしょうが。
『新撰組 日本酒シリーズ 近藤勇の純米大吟醸』
新撰組メンバーが喜びそうだろ。
「いいんですか？」
「ちゃんとみんなでな？」
粟田口は鯰尾の件で薬研一人が孤立してしまってるけど、美味しいものを一緒に食べれば、単純だけどまた仲良くするにはいい機会になると思う。
含みを持たせた言い方をきちんと理解したんだろう。パッと笑顔を輝かせながらお礼を言われた。良きかな。
鯰尾も気になるが、先に報告をするため私は執務室にいた。
「良かった！じゃあ何とかしてもらえるんですね」
「それと、予定通り鯰尾はうちで預かることになったぜ」
ブラック産の刀剣男士……加州らはその扱いの難しさを懸念していた。
人間を信用できなくなってしまっていたり、出陣を嫌がったり、PTSDを発症していたり。
今回のケースは鯰尾の持っていたデータから粗方の事情は分かっているが、それはあくまで審神者の罪であって刀剣男士の心情ではない。
けど、おそらく助けを求めて戦場にいたんだろうから、こちらが危害を加えないことを分かってくれれば大人しくしてくれると思う。
経験者だから分かるが、戦場で折れかけるような怪我をしている場合、耳も目もほとんど使い物にならなかった。
折れるかどうかの瀬戸際で六人編成の気配がした時、味方と能天気に思う刀剣男士はいないだろう。
鯰尾が第二部隊に刀を向けたのはそれが原因ではなかろうか？
「ああ、目覚めた鯰尾からも骨喰を通して謝罪があった。とりあえずこちらへの敵意は無さそうだ。だが、問題があってな」
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水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね！鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜！ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ！好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜！！続きが楽しみです。 更新頑張ってください！ (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ！とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい！更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年8月23日 14時
