【刀剣乱舞】成り代わり鶴が本丸で奮闘する話【２】

練度83 ページ36

私は普通の鶴丸国永よりも目立つらしい。

雪に溶けそうな「白雪の鶴」とか雅ぃなあだ名が一部でまかり通ってるそうだ。マジかよどの辺が？

おまけに顕現年数が若そうで人当たり良く……言ってしまえば厄介な人種にとってはカモに見える。

そこ辺歩いてるとやたらブラックに片足突っ込んでそうな審神者が釣れると思えばそういうことだったのか。納得は出来ないが理解はした。

毎度絡まれるたびに一緒に万屋に来る骨喰が万屋管理部の詰所まで走ってくれていた。
役人たちには「またお前か…」という目で見られ、すっかり顔見知りになってしまった。

まあそんなわけで個刃的に管理部と繋がりはあるんだけど、再三ブラック予備軍を通報しておいて監査部に出会ったことは一度もない。

それだけめったに表に出てこない組織ということだ。

まあただでさえブラック本丸とか発生する中で嫉妬や妬みで冤罪通報があったらパンクするし、それは仕方ないと思う。

しかし今回はそれでは困る。

管理部は信用しているけれど、知ってる顔はあくまで一部だし、厄介事拾ってくる私を良く思わない人間もいるのだ。

「だから狙いは監査部に直接目を付けられることだ」

「直接、とは俺のこの怪我か？」

「虎徹問題は話題になってるからな。中には蜂須賀贔屓で……その、いい気分ではないだろうが、良くない扱いを受ける長曽根もいるそうだ」

「ふむ、身綺麗な刀の中に一振り軽傷のまま。さぞ悪目立ちするだろうな」

「しかし実際はかすり傷一つ付いていません。いざ監査部に目をつけられたとしても冤罪はすぐに晴れ、僕らは監査部と話ができる…？」

「管理部の仕事は万屋の管理だからな。万屋内の問題行動ではなく、本丸事情になる案件なら管理部の管轄じゃない」

「まずは鶴丸で人目を引き、長曽根の身を案じた監査部を引き摺り出すのか」

「俺一人の方がいいんじゃないのか？」

「君、検非違使限定低確率ドロップだぜ？練度もまだ低いし、万が一の時絡まれ慣れている俺が助けられる方が安心だ」

絡まれるのを覚悟の上で行くとはいえ、
誘拐なんてされた日にゃ主もそうだが新撰組と蜂須賀へ申しわけが立たない。

「前田は偵察係として少し離れたところから全体を見て、刀剣と二人きり、もしくは護衛なしの人間がいたらさりげなくそちらへ誘導して欲しい。さらに赤か黒か白のバッジをしていたら当たりの可能性が高い」

「分かりました」

「よし、じゃ行くぜ」

私たちは気合を入れてゲートをくぐった。

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