＊ ページ31
「あそこにきたのがわたしいがいだったら、つーほーしてたよ」
「返す言葉も無い」
向かいに座る綺麗な少女が、小さな口でおはぎを頬張る。
彼女は数刻前、Aの所謂「やっちゃった」現場を見た少女、萩原と云うらしい。
「あまぁい」
可愛らしい少女だ、Aは苦い茶をすすりながらそう思った。
驚くほど綺麗な見た目なのに、何処か子どもを思わせる仕草が愛らしい。
同時に、こんな少女にアレを見せたと思うと罪悪感が湧く。
「おねぇさんはたべないの？」
「甘いのはちょっと…」
「！」
萩原が「信じられん」とでも云うような顔をする。
口止め料として出したおばき(貰い物でそこそこ有名店のもの)は生憎、Aが食べるにはきついものがある。
「おはぎ、きらい？」
「甘いもの全般が好きじゃ無くて」
「なげかわしい…」
「嘆かわしい！？」
そんなにか、と思っていると萩原がおはぎを一口大に切り、和菓子切りに刺して口元に持ってくる。
「たべて、おいしいから」
大きな瞳でじっと見つめられ、断れなくなり「ええい」とおはぎを口に入れる。
「あ、美味しい」
そう云うと萩原はにっこーっと笑う。
そこから少しずつ打ち解けて、色々な話をした。
悲しいくらい友達がいなかったAにとって、
一切毒気が無く、柔らかな雰囲気の萩原は非常に好感が持てた。
「あ、そろそろかえらないとにぃにがしんぱいする」
「そう…あの、」
立ち上がった萩原に言葉をかけようと思うが、出てこない。
だって今日知り合ったばかりなのに、いきなりこんなことを云っても。
「ねぇ、またここにきてもいい？」
萩原の言葉にAが驚いた顔をして、小さな声で、
「勿論」
と、少しだけ笑った。
萩原は嬉しそうに笑い、玄関の扉を開ける。
ちなみにだが、ここはAの社員寮であり、
「あれ、可愛いお嬢さんがいる」
太宰治と同居している部屋でもある。
扉を開けた先にいる太宰は、萩原の存在に驚き、いつものように口説き文句を云う前に、
ゴッ
「じゃあ、気をつけて帰って」
Aの鉄拳により沈められた。
嬉しそうに手を振るAに、萩原は手を振り返す。
色々見なかったことにしつつ、二人の間には確かな絆が芽生えたのだった。
鬼滅の迷い犬 ［シトラス様リクエスト］→←この世界とメメント・モリ［ほんばし様リクエスト］
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シア - 続き楽しみにしてます！！ (1月4日 15時) (
レス) @page50 id: 5afea0a2a0 (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - もこすけさんが戻って来てくれたら嬉しいです‼‼‼‼ (8月2日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - この作品はとても面白くて大好きです‼‼‼‼特に猟犬との絡みが見ててとても面白くて楽しいです‼‼‼‼文章力がとても高いので作品に引き込まれます！最近はこの作品をモチベーションにして頑張っています‼‼ (8月2日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
絵の具セット - 番外編もめちゃくちゃ面白いしキュンキュンします！！これからもがんばってください！！！更新再開待ってます！！ (2023年4月10日 20時) (レス) id: b2c10b1855 (このIDを非表示/違反報告)
アスパラ - とっても面白かったです！続きまってます！ (2023年4月8日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年10月13日 19時
