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人魚姫なんて似合わない [夜猫様リクエスト] ページ27

Aはその容姿のせいか、よく白雪姫に例えられる。
白い肌と黒い髪、赤い唇はまさにそれであった。







ガタン!!








だからこそ、あの時は流石の太宰も驚いた。
夜、風呂場から大きな物音がした。
今はAが入っている筈なのだが、転んだのか?







「ちょっとAちゃん大丈夫?」







声をかけるが返事はない、嫌な予感がした。







「ごめん、開けるよ」







音を立てて扉を開けると、湯けむりが立ち上った。
そんな中、風呂の中にAを見つけた。







「え…?」







太宰はその光景に絶句する。
風呂の中に溜まった湯、そこから出ているものは普段のAの白く細い脚ではなかった。
水色に薄紫がかかったウロコ、魚のような大きな尾ひれ。







「…太宰、さん?」








暫く呆然と自分の足、いや、尾ひれを見つめていたAが漸く太宰に気づく。
そして、顔をみるみる赤くさせ、







「いやぁあぁあ!!見るなー!!」







胸元を隠しながら思い切り風呂桶をぶん投げられ、太宰は気絶した。
その大声はお隣の敦達にも届き、様子を見にきた彼らも巻き込んで大騒ぎになったそうな。







「水をかけると人魚になる異能とか阿呆すぎませんか?」







「そんな阿呆な異能にかかったのは誰だい」







「与謝野先生解体用の鉈を置いてください人魚の解剖に嬉々としないで」








翌日、人魚になった件について乱歩に聞いた結果、これが異能だと判明した。
だがいつ誰にかけられたのかはAは判らなかった。
とりあえず相手は締め上げてやると決心はしている。







「人魚に、ねぇ」







「雨の日は出かけられませんね」








「それだけじゃあないぞ」








医務室に乱歩が入ってきた。
彼は飴を舐めながらも、どこか険しい顔をした。







「最近、裏社会で妙な噂が立っている」







「噂?」








「"オークションに人魚が売り出された"」








オークション、人魚。
その言葉にAは口元を押さえた。







「まさか…人間をオークションに…?」







「異能で作った人魚…だとしても相当高く売れるだろうな」







「…醜悪な」







自分に異能をかけた相手に嫌悪感を抱いた。
私利私欲にまみれた異能者、そんなものに触れられたかと思うと吐き気がする。







「一応気をつけておきなよ」







「…はい」








人魚もどうやら楽では無いらしい。

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もこすけ(プロフ) - あっきーさん» 嬉しいコメントありがとうございます。人狼ゲーム、書いていても楽しかったです。考えるのはなかなか大変でしたが、喜んでいただけて良かったです。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月26日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
あっきー - 人狼シリーズ大好きです!本当に天才だと思います!!これからも楽しみにしています! (2019年11月25日 17時) (レス) id: d54700ef05 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございました。本当ですね、たった今気づきました。ありがとうございます。これからもこの作品を、よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
そー氏。(プロフ) - 返答ありがとうございました。いつもこの作品応援しています。ちなみにタイトルが「この十六」になってますよ「その十六」じゃありませんか? (2019年11月3日 9時) (レス) id: 15750ac93c (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございます。小泉は、普段は髪で隠れて見えませんが、首筋にホクロがあります。基本、見えるところにはありません。ちなみに母親の雪も同じです。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年8月17日 20時

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