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吸血鬼になり、更に白くなった頬に太宰の手が滑る。






「私が触れても、駄目か」







太宰の異能無効化でも、異能は解けなかった。
Aは何処か判っていたように肩を落とし、息を吐く。







「輸血パック、受け付けなかったそうだね」








「…とても飲めるモノじゃなくて」







「血液だから抵抗があったのかい?」







「それもありますけど、兎に角不味くて」







太宰は、青白い顔でベッドに横たわる少女を見て、再度体に触れてみる。
だが、変化は起こらなかった。







『やはり異能力者そのものに触れないと駄目か…』








それにしても、顔色が悪い。
唯一の食事である血液を摂取していないせいか。
輸血パックも、温めてみたり、血液型を変えてみたりしたが駄目だった。







『でも、このまま血液を摂取出来なくては死ぬ』







報告によれば、限界に達すると吸血鬼になった者は死ぬそうだ。







『死ぬ?この子が?そんな莫迦な話あってたまるか』







「少し、いいかい?」








「え?」







Aは太宰の方を向いて、そして目を見開いた。
太宰が、手にナイフを持って自分の指に滑らせたのだ。







「なにを…!」








スッと手前に引けばボタリと血がベッドに落ちた。
指先から溢れ出る赤に、Aの目が更に見開かれる。







「飲んでご覧」







「…莫迦なこと云わないでください。
人から、それも貴方から貰える訳ないでしょう」







「飲まないと死んでしまうよ」








「私は、あんな風に人から血を奪い取るような化け物になりたくありません」








「…判らない子だね」








太宰の手が、Aの腕を掴んだ。
あまりの強さにAが声をあげる。







「なにを…」








「飲みなさい」







血に濡れた指先が、唇に押し当てられる。
みなくても判る、太宰は、怒っていた。
でも、受け入れることは出来ない。







「絶対、嫌」







太宰の力が強くなる。
すると、







「判った」







彼は徐に手を離し、そして血に濡れた指を、自分の口に入れた。
そして、ある程度血が溜まった瞬間、Aの頭に手を回した。







「なっ」








そして、強引に唇を押し当てた。
離れることを許さないほど力強く、唇が当てられる。
そして、Aの口の中に熱い血が流れ込んだ。








『あ、甘い』








それは本当に一瞬のことだった。

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もこすけ(プロフ) - あっきーさん» 嬉しいコメントありがとうございます。人狼ゲーム、書いていても楽しかったです。考えるのはなかなか大変でしたが、喜んでいただけて良かったです。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月26日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
あっきー - 人狼シリーズ大好きです!本当に天才だと思います!!これからも楽しみにしています! (2019年11月25日 17時) (レス) id: d54700ef05 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございました。本当ですね、たった今気づきました。ありがとうございます。これからもこの作品を、よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
そー氏。(プロフ) - 返答ありがとうございました。いつもこの作品応援しています。ちなみにタイトルが「この十六」になってますよ「その十六」じゃありませんか? (2019年11月3日 9時) (レス) id: 15750ac93c (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - そー氏。さん» ご質問ありがとうございます。小泉は、普段は髪で隠れて見えませんが、首筋にホクロがあります。基本、見えるところにはありません。ちなみに母親の雪も同じです。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年8月17日 20時

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